あるいは、“最後っ屁”でしょうか。しかも同じ日、自公連立解消というニュースによってすっかり霞んでしまい、それこそ◯にもならないという・・・

10月10日、自公連立解消という喧騒のウラでひっそりと。

　本日、「戦後８０年に寄せて」と題します内閣総理大臣所感を発出をいたしました。

という一文に始まる冒頭発言、総理大臣記者会見がありました。

退陣目前の首相が所感を発出することに、一体どんな意味があるというのでしょう。

実際（たまたま、とも言えますが）一面トップになりそこねましたしね。

（中日新聞10/11-1面）

ともあれ、完全スルーというのもお気の毒ですし、少しくらいはイジって、いや、私自身の備忘録として、触れておきましょう。

●“所感”＝まさに「個人の感想」

　これまでも戦後５０年、６０年、７０年の節目に内閣総理大臣談話が発出をされており、歴史認識に関する歴代内閣の立場につきましては、私もこれを引き継いでおります。

だったら、それで良いではないですか、と思うのだけれども・・・

　他方、過去３度の談話におきましては、なぜあの戦争を避けることができなかったのかという点につきましてはあまり触れられておりません。戦後７０年談話においても、そこには、日本は「外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえませんでした」と、このような一節がございますが、それ以上の詳細については触れられておりません。論じられてもおりません。

だから、私（石破氏）が「所感」を披露するよ、ということらしく・・・

　当時の日本の国内の政治システムは、なぜ歯止めたりえなかったのか。今回発出いたしました「所感」は、これまでの談話における残された課題に対する私なりの考えであり、また、国民の皆様方と一緒に考えるためのものでもございます。

いや、アナタ（石破氏）なりの考え、と言われてもなあ、です。

●あれやこれやの寄せ集め

で、そこまでは前フリで、いよいよ本題に入っていくわけですが・・・

　いかなる経緯で日本はあの戦争に突入していったのか。当時の大日本帝国憲法、政府、議会、メディア、それぞれに問題があったものと考えております。

だそうでして。

しかしながら、「私なりの考え」として長々と披露されたその中身は、いろんな人が既にあちらこちらで言っていること書いていることの寄せ集め。

政治や歴史について、それなりに関心のある人にとっては、ほぼほぼ「そんなん知ってるし」といった内容でした。

なので、石破氏と「一緒に考えるため」にもという殊勝な方以外、真剣に読む（聞く）価値は、正直なところ、無いですね。

様々な見方を広く浅く網羅するより、それこそ自分なりの考えを深く掘り下げた方が良いと思います。

だいたい、自ら考える人は石破さんに言われなくても常々考えているでしょう。

逆に、これまで何も考えてこなかった人が石破さんに何か言われたからといって考え始めるものでもありませし、そういう人は、そもそも石破さんが言っていることなんて聞いているはずもないですし。

●ソレは何目線？

さて、発言の中盤から終盤にかけては、「歴史の教訓」めいたものが散りばめられておりまして。

　満州事変が起こった頃から、メディアは積極的な戦争支持に変わっていきました。それは、戦争報道が「売れた」から。新聞各紙は大きく発行部数を伸ばしました。何倍にも発行部数は伸びました。これに多くの国民は幻惑をされて、ナショナリズムは更に高まったということであります。

この行については素直に評価しますが・・・

　政治は常に国民全体の利益と福祉を考え、長期的な視点に立った合理的な判断を心がけなければならないのであります。開戦に至る過程でも見られましたとおり、責任の所在が明確ではなくて、状況が行き詰まるような場合には、成功の可能性が低くて、リスクが高くても、勇ましい声、大胆な解決策、そういうようなものが受け入れられがちであります。合理的な判断を欠いて、精神的・情緒的な判断が重視されて、国の進むべき進路を誤った歴史を決して繰り返してはなりません。

　国会には憲法によって与えられた権能を行使することを通じて、政府の活動を適切にチェックする役割を果たすことが求められます。政治は国益を損なうような党利党略、己の保身を取ってはなりません。己の保身に走ってはならないのであります。

　これら全ての基盤として歴史に学ぶ姿勢が肝要です。過去を直視する勇気、そして、誠実さ、他者の主張にも謙虚に耳を傾ける寛容さを持った本来のリベラリズム、健全で強靭（きょうじん）な民主主義が何よりも大切であると考えております。

「いちいちごもっとも」とする他ありません。

が、それこそ「アナタがそれを言う？」の世界でありまして。

　私が国連一般討論演説でも述べたことでありますが、歴史に正面から向き合うことなくして明るい未来が拓（ひら）けることはございません。私は強くそのように思っております。これを改めて強調させていただいて、私の冒頭発言といたします。

ご自分の決意表明としては悪くないのかもしれないけれども。

それでもやはり、いや、だからこそ、退任が決まっている人がわざわざ言うことではないなと。

結局「石破談話」⎯⎯閣議を経たわけでもなく、文字通り「所感」に過ぎないのだけれども⎯⎯として「名」を遺したかっただけですよねと。

●出来の悪い評論家、でした。

まあ、良くも悪くも、というか、悪いばっかではありますが・・・

約1年間、多くの国民に、少なくとも私に、多大なる不快感を与え続けた石破政権を象徴するような「所感」ですね、ということで。

令和7年10月10日石破内閣総理大臣記者会見 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ総理の演説や記者会見などを、ノーカットの動画やテキストでご覧になれます。

www.kantei.go.jp

この先、あえて「戦後80年談話」「石破談話」と呼ぶ人も出てくるでしょうけれども、その都度、面倒ではあっても「いや、“所感”だから」という指摘を怠らないようにしないと、です。

🍥🍥🍥　🍥🍥🍥　🍥🍥🍥　🍥🍥🍥　🍥🍥🍥　🍥🍥🍥　🍥🍥🍥

安倍談話も遠くなりにけり。

こちら「戦後70年談話」から3年後に書いたもです。お時間あれば。

『#261 「戦後70年」から3年・・・「（内閣総理大臣）談話」は遠くなりにけり。』　８月は、私たち日本人にしばし立ち止まることを求めます。今は遠い過去なのだとしても、過ぎ去った歴史に思いを致すことを求めます。3年前の8月14日、「２０世紀を…

ameblo.jp

ところで、冒頭発言以上の時間を使った「質疑応答」の方は、なかなかに興味深い質問もあったりで、それなりに楽しめます。

　自民党内では高市総裁を始め、保守派の議員から戦後８０年のこの所感を発表することに対して反発の声も上がっています。こうした声について総理はどのように受け止めていますでしょうか。また、こうした声がある中でも、総理が所感を発表した意義についてどのようにお考えでしょうか。

　現在の政治状況は、総理が既に退陣表明をされておりまして、政権移行の端境期にあると思います。この退陣を目前に控えたタイミングというところでなぜこのような政治的な意味合いを持つ（内閣総理）大臣所感を出されたのかというところについてその理由をお聞かせください。

　私はちょっと所感の内容とプロセスについてお伺いします。

　こちらの頂いた所感を見たのですけれども、国内の史実については、歴史については教科書的に網羅されて触れられていると思うのですけれども、では、果たして当時の国際情勢はどうだったのか、外交面でどうだったのかという対外的な理由の部分、なぜ戦争に至ったのかが検証されていないように思いました。

　また、一議員ではなくて首相という立場で出す以上、この先、今日への教訓についても、現在の国際情勢などを踏まえて書かれるべきかと思うのですが、そういった言及もございませんでした。

　先ほど語られた安全保障政策などについての質問にも語られていましたけれども、そういった要素も入っていなかったことに関して、なぜ触れられていないのかというのが一点と、また、その決定プロセスについて、退陣が迫る中で、限られた時間の中でだったので、そういった検証が不十分だった点はないかという問いに対してはどのようにお考えでしょうか。会議体が作られるわけでもなく、決定過程が不透明な中ですけれども、それについて御見解をお聞かせください。お願いします。

これらに対する石破氏の答えについては、皆様ご自身でご確認を。

令和7年10月10日石破内閣総理大臣記者会見 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ総理の演説や記者会見などを、ノーカットの動画やテキストでご覧になれます。

www.kantei.go.jp

結局イライラさせられるだけかもしれませんが。

内閣総理大臣“所感”⎯⎯ソレは“思い出作り”？