溺れちゃいそう。そこに投げ込まれるのは、藁か浮き輪か。あるいは、誰かの都合で継ぎ接ぎされた真実「の・ような物語」か。

 

 

現下の状況は、ロシアが「特別な軍事作戦」と主張するように限定的なものなのか、あるいは、ウクライナおよび世界の主要メディアが言うところの「全面戦争」に当たるのか。

 

そこからして既に、色々と齟齬があるわけだけれども・・・

 

 

⚫ 「戦中」ですから、どっちにしても「プロパガンダ」!

 

唐突ながら、こちらの写真。多くの方が「見たことあるよ」と仰ることでしょう。

 

 

『LIFE』という雑誌の1937年10月4日号102ページ、「上海駅の赤ん坊」と呼ばれているものです。

 

 

 

第二次上海事変の折、日本軍の爆撃によって、写真のような「事象」があった、ということなのですが・・・

 

ただ、その「解釈」については、実に様々な立場がありまして。実際、Wikipediaの記事には、こんな注釈が付いてます。

 

この記事は中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、議論中です。そのため、中立的でない偏った観点から記事が構成されているおそれがあり、場合によっては記事の修正が必要です。議論はノートを参照してください。(2012年9月)

 

 

 

要は、その意味するところ80年経っても確定していないわけでして。

 

 

切り取られ伝えられた「真実」には、必ずその「前」と「後」があり、同時刻であっても「フレーム外」へと捨象されるものもありで。

 

写真(画像、今日であれば動画であっても)が示す「真実」は、それほどまでに曖昧で危うくてあやふやだということですね。

 

 

⚫ それを「プロパガンダ」と知ることで克服できる?

 

こんな本があります。

 

反日プロパガンダの読み解き方――歪められた歴史認識を正すために

川上和久 PHP研究所(2013年)

 

 

 主権国家は当然、それぞれの主張を持っています。「反日」も、それぞれの国家の政治的思惑で、歴史的な事実であるかどうかは捨象しても、「つくられた事実」をもって政治目的のために使われることはあるでしょう。しかし、それぞれの主権国家の思惑でそういった「反日プロパガンダ」が跳梁跋扈するのを煽り立てる国内メディアもあり、その根底には、戦前・戦後の断絶のなかで刷り込まれた根強い「自虐史観」「反日史観」があります。

 本書では、そういった「反日プロパガンダ」が近現代史のなかでどのように行なわれてきたのか、そして主権国家が伸張していくなかで必然的に起きた「反日プロパガンダ」を過去どのように克服してきたのか、あるいは克服できないまま現在にまで引きずっているか――を読み解いたうえで、私たち日本国民がどう対峙していったらいいかについても、ぜひ考えていきたいと思います。

 

 

 

・・・という内容。

 

 

冒頭には・・・

 

  本書の『「反日プロパガンダ」の読み解き方』という題名は、もちろん、現在のきわめて危険な、自分たちの都合で言い立てる中国や韓国の根拠なき「反日世論」の高まりに対して、どのように対処したらいいかの、「危機に対する処方箋」を目指してつけられた題名です。

 

・・・と書かれています。

 

 

目次は以下のとおり。

 

序章 いまここにある「日本の危機」

 

第1章 政治目的達成の強力な武器「プロパガンダ」の歴史

第2章 日露戦争に学ぶ親日世論のつくり方

第3章 日露戦争後の米の「反日」世論に挑んだ人々

第4章 プロパガンダ戦の敗北が招いた大東亜戦争

最終章 「反日プロパガンダ」と戦うために

 

あとがき

 

関連年表

主要参考文献

 

 

大東亜戦争関係となる「第4章」だけ、節項目を書き出しましょう。

 

 欧米の反日世論を勢いづかせた満州事変

 活発に情報工作する中国、宣伝下手な日本

 世界に報道されなかった日本人大量虐殺「通州事件」

 歪めて報道された大山大尉虐殺事件後の戦い

 「世界の悪者」に仕立てられた日本

 米英の通信社も反日記事を配信

 捏造写真で「残虐な日本軍」を強調

 パネー号事件に見るデマ報道の手口

 蒋介石を支えた大規模な宣伝組織

 ラジオで反日を煽る国民党

 反日プロパガンダの強力な広告塔・宋美齢

 米国世論を変えようと渡米した憂国の志士・中村嘉壽

 人々の感情に訴え、反日世論を増幅する中国

 遅ればせながらの日本のプロパガンダ戦略

 有効な宣伝システムを持たないまま戦争へ

 今日にまで禍根を残す「南京事件」

 「つくられた事実」を固定化する中国

 GHQによる洗脳教育、NHKの『真相箱』

 あったことにされ、東京裁判で裁かれた「南京大虐殺」

 でっち上げ記事で処刑された「百人斬り競争」の2人

 事実と異なることは正さなければならない

 

 

いや、まあ、その何だ、この目次を読んだだけでも・・・

 

 

まずは、伝える伝えないの取捨選択によって。次に、伝えるとしても矮小化あるいは誇張することによって。さらには感情に訴えたり単純に繰り返すことによって。

 

真実は歪められていったということが判ります。

 

 

すなわちマスメディアは、誤解を解いて戦争を止めるどころか、むしろ憎悪を煽り戦火を拡大させていくというね。

 

まるで現下の・・・うん、まあ、以下略で。

 

 

ちなみに、巻末の「関連年表」は〈1941年(昭和16年)日米開戦〉からであるはずもなく〈1622年(元和8年)ローマ教皇グレゴリウス15世、布教聖省創設〉から始まっています。

 

何とはなしに客観的で網羅的と感じてしまう年表もね、実は、何年から始めるか、何を拾い何を捨てるかで、大きく印象が変わってきますから。

 

やっぱり現下の・・・うん、まあ、以下同文で。

 

 

いや、もちろん、状況も背景も違うわけですから、過去の日本と現在のロシアとを同列に論じるのは単純に過ぎるでしょう。

 

でも、逆に、しばしば忘れられがちなのが、当時(第一次大戦後〜第二次大戦終結まで)の日本は5大国のひとつだったということです。

 

いろんなこと、アレやコレや、それに相応しい振る舞いだったかと問われると・・・

 

 

⚫ 政府に言われたから、ではなく、おそらくは自ら進んで。

 

こんな本もあります。

 

朝日新聞「戦時社説」を読む

室谷克実 毎日ワンズ(2014年)

 

 

朝日新聞は「軍国日本の魁」というべき存在だった!

主要戦時社説65本を収録!

 
 
 
・・・という素敵なモノ。
 
 
「はじめに」の冒頭、こう説明されてます・・・
 
  この本は、昭和16年12月8日から20年8月15日まで、俗に言う「戦中」(戦時中)に朝日新聞が掲載した社説の中から、戦局の転換などに触れて書かれた65本を選び収録している

 

ちなみに、この出版社の社長さんは、著者と大学時代同じゼミで学んだそうで・・・

 

  戦中の朝日新聞は、どんな論調を掲げていたのか――出版社・毎日ワンズの社長である松藤竹二郎は限りない興味を覚えた。

 

その縁から、この本が生まれたとのことです。

 

 

ここでは、その65本のうち1本の、そのまた一部だけ紹介しましょう。

 

「満州国建国十周年(昭和17年3月1日)」から。

 

  顧みるに満州国の建国は満州事変に端を発し、皇軍の東北軍閥掃蕩は多年張家(*張作霖親子)の圧制と搾取に呻吟しつつあった三千万民衆解放の天与の機会となったのである。原住諸民族安居楽業の理想郷を建設せんとする民衆の要望に対し、我が国は諸民族をして各々その所を得せしめんとする肇国の大精神に基き、国運を賭してこれを支持することとなり、遂にベルサイユ体制を離脱し、国際連盟と袂を分つに至った。我が旧秩序維持派諸国に対する新秩序建設の戦いは実にこの時に宣言せられたものに他ならない。

 

・・・現下で言うところの「デマ」だったり「妄想」だったりしますかね。

 

  日満不可分の関係は単に条約の規定や、利害の関係による結合ではなくして、実に崇高深遠なる道義的、精神的結合であることに深く思いを致さなければならないのである。而して畏くも満州国皇帝陛下こそはこの至高なる精神の体得者、日満一体の大義の偉大なる実践者であらせられるのである。

 

・・・うん、the・精神論。

 

なんだけど、今日、それをバカにすることができるかというと、正直、「?」です。あちらこちらで同じレベルの言説が飛び交ってますからね。

 

 

では目次を。

 

 

はじめに――65本の戦時社説

 

序章 二度と騙されないために

 戦後の「自信なき保守体制」をつくったもの

 本書の工夫 ほか
 

第2章 開戦

 帝国の対米英宣戦(昭和十六年十二月九日)
 勅語を賜う(昭和十六年十二月十一日) ほか 
第3章 決戦

 首相必勝の信念を吐露(昭和十八年一月二十九日)
 米大統領また空宣伝(昭和十八年二月十四日) ほか 
第4章 敗戦

 思想攻勢に進まん(昭和二十年一月一日)
 当事者よ、この人を見よ(昭和二十年一月十二日) ほか 

 

終章 朝日の一五〇〇日

 「勇ましゅうて、朝日読んでたら気ィ大きゅうなる」
 スクープ合戦に敗れる ほか 

 

 

⚫ み〜んな「坊やだからさ」?

 

3月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領(閣下!)が、我が国会において(初めて!)オンライン演説いたしました。

 

 

それより先、既に数カ国で演説をこなしておりまして。

 

英国では「バトル・オブ・ブリテン」、米国では「真珠湾攻撃」、イスラエルでは「ホロコースト」に言及するなどしたもんだから、さて日本では、と楽しみに(一部の人は不安視)していたんですが・・・

 

 

案外、抑制の効いた、穏当なものでした。

 

原発(被災)事故に触れるなど、色々とくすぐってくれたりはしたものの、まあ、そんなもんか、くらいの内容だったと思います。

 

全文はこちらで。

 

 

 

いや、なのに、ですよ。

 

え、何、(下のスクリーンショットだと分かり難いかもしれませんが)国会議員諸君、スタンディング・オベーション? 

 

 

 

 

安っ! いや、むしろ、怖っ!

 

・・・と思ったら、どうやら始めから仕込まれていたもののようで。

 

 

そんなんなら、いっそ「ジーク・ジオン!」とか唱和すれば良かったのに。

 

ワタクシ個人の感想ですが、正直、めっちゃ引きましたね。

 

 

続く山東昭子参議院議長の「締めのあいさつ」も白けるというか鼻白むというか。

 

「勇気に感動」? 「心はひとつ」?

 

 

 

 

何、日本国民全員に(もれなくウクライナ側に)「立てよ!」と言いたいのかしら? 下手くそ過ぎるけど「戦意高揚」プロパガンダのつもり?

 

参議院議長がそんな「坊や」(女性だけど)みたいな反応してたんじゃ、日本人み〜んな「坊やだからさ」で死んじゃいますよ。

 

(↓わざわざ埋め込むのも野暮ですが、若い方はご存知ないかもしれないので)

 

 

一方、演説前、演説中の我が首相、外相の態度が云々という報道もあったりなかったりで・・・良くも悪くも正直者? ワタクシ的に、むしろ安心したりしなかったり、です。

 

 

おっと、イケナイイケナイ。つい熱くなってしまいました。

 

論点批判は良いけど論者攻撃はダメよ、でしたね。

 

 

⚫ こんな時だからこそ、柔らかく自由に。

 

そんなわけで、

 

ワタクシ自身、己の信じるもの以外「認めたくないッ!」に固執してしまいそうですが、だからこそ、どこまでも柔らかく自由でいたいと思います。

 

 

こちら、24:10くらいから4分くらいの間、「プーチンのでっちあげ」で片付けられがちなウクライナ国内の「ネオナチ」について。

 

米連邦議会決議、NATO軍、国連広報センターが示す「ファクト」(然るべき公的機関の公式発表でウラが取れる)に触れています。

 

山口敬之なんてそもそも信用できん、という方には「はぁ、そうですか」と言うしかないんですけど。

 

 

 

いずれにせよ、「戦時中」に伝えられる(伝えられない)個々の事象について、その真偽を云々するのは、そうね、無益、とまでは言わないけれども、あまり生産的ではないような気がします。

 

ロシア・ウクライナ双方の、神対応であれ悪魔的所業であれ、可能性はゼロではないし100%確実ということもないでしょうし。

 

 

そしたら、日々報道される「最新情報」には、一々反応しないようにするのが吉かなと思っております(ソレで論争するのもひどく疲れそうですし)。

 

 

 

 

 

 

 

報道より多い少ないは置くとして、

 

人命が失われていくのはやはり哀しいことです。

 

なのでワタクシとて、

 

可及的速やかに停戦を、と望まないではないのだけれど・・・

 

 

心情的、道徳的に、どちらかの側に寄り添う、という気にはなれません。

 

日本に擦り寄らざるを得ない程度にロシアが疲弊するまでウクライナには頑張ってもらおう、くらいはアリだなとか、悪辣なことを考えたりもしてます。

 

非人道的でゴメンナサイ。

 

 

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週末のお買い物。

 

「文は人なり」とか申しますが、たぶん「蔵書も人なり」でしょう。自分で言うのも何ですが、ここのところの興味が如実に出ていて分かりやすいです。