ここ1週間のこと、
「最悪の事態を想定して対策を」と言ってはいても、それは結局・・・
「自分が望むことだけを、自分に影響のない範囲で」の意味だったんだな。
・・・と。これはもちろん、全ての人がというのではありませんが、しみじみ思っております。
まさに・・・
何もしなければしないで批判をし、何かしたらしたで文句を言う。
・・・でして。これまた、全ての人がというのではありませんが、その反応が想定内過ぎて、いっそ笑えます。
ただ、もともとアンチ安倍の人々については趣味でそれをしているので捨て置けば良いとして、今回の新型コロナウイルスは出処が湖北省武漢なだけに、反中国(人・政府)感情に引きずられ発言に冷静さを欠いている方も少なからずいる、ということが残念でなりません。
そう言えば「先手先手で」というセリフも頻繁に聞いたのですけれども。
感染症対策において重要な初期段階の事実関係が闇の中。感染状況も症例も確たることは言えず、ウイルス自体しばしば変異するという話でありまして。
要するに分からないことだらけ。ルールも定石もない。喩えて言えば・・・
相手の駒全てが飛車角金銀桂馬の動きを始めるかもしれないという中で、どう先手を打てと言うのでしょう。
ワタクシ自身は、この新型コロナウイルス感染症COVID-19が、我が(!)日本国内において通常の季節性インフルエンザ感染者数および死者数を超えることはないだろうと、考えておりましたし、今もその考えは変わっておりません。
人から人へと感染していく(「継代」と言うのだそうです)にしたがってウイルスが変異していくというのはその通りです。ある程度重症化する可能性も当然あるでしょう。けれど、それで例えば、致死率がSARS(10%)やMERS(30%)並に急上昇するようなことは、さすがに無いと思います。
というか、それは最早、新型新型コロナウイルス感染症(COVID-20?)とでも呼ぶべきものの新規発生で、それこそ先手の打ちようがありません。
武漢での致死率が高めなのは医療ケアが追いつかないからでしょうし、壮年の医師が続けて亡くなったのは、睡眠不足・疲労蓄積の影響が大きいのではないでしょうか。
が、それはそれとして、韓国内の集団感染や北海道のクラスター発生・10歳未満男児の感染が決定的だったのでしょう。2月25日発表の「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」、27日に表明した小中学校・高校の休業など、ここ1週間の動きに関しては、それこそ「先手」を打ったのだろうと、それなりに納得はしてました。
とは言え、首相ご自身が「政治決断」したことだけに、もちっと説明が欲しいなあとも思ってました。
そうしたところ・・・
〈政府の力だけでこの戦いに勝利を収めることはできません。最終的な終息に向けては、医療機関、ご家庭、企業、自治体をはじめ、1人1人の国民の皆さんのご理解、ご協力が欠かせません〉
・・・2月29日夕刻の記者会見で、首相は字義通り「率直に」語りかけました。
確かに問題も多い、将来に禍根を残しかねない「決断」だなとは思います。
ただそれでも、正当な民主主義制度の手続きを経てその職務に当たっている我が(!)内閣総理大臣の言葉ですから。一国民として、まずは素直に受け止め、理解し協力しようと考えているところです。
何故って、
政府の力だけでは抑えきれない―「最悪を想定する」って、そもそもそういうことでしょう。
何ならこれを機に、立法府(予算・法律)と行政府(対策・施策)の関係や、緊急事態と超法規的措置、その他種々諸々のあり様であるとか・・・
あるいは、働くこととか、学問することとか、次世代を育てることとか、老いることとか、でもって、つまりは生きることとか・・・
じっくり考える季節にしたって良い。
マスクやトイレットペーパーを我先にと買い占めるなど「最悪を想定する」のとは似て非なることで、不安に迷い流されるだけの、寂しい人になっちゃいけません。
この対策が、ちょっとやり過ぎなのか、それでも足りないのか、結果を待つしかありません。いえ、結果が出たとしても、それが対策の効果なのかどうか、対照実験ができない以上厳密な意味での証明は不可能です。
あるとしたら、他国の感染状況との比較でしょうか。あるいは、感染者数・死者数ともに季節性のインフルエンザ(2018-19年国内推定1,200万人・3,325人)を参照するとか?
最後に、一つだけデータをお示しします。
2月29日現在の新型コロナウイルス感染者数、死者数等の国別一覧です。あくまでも検査を受けた人の数であること、かつ各国当局から報告のあった数であること、という注が付きますが、さて、日本政府の対応は「手ぬるく後手後手」だったと決めつけて良いのでしょうか?
リンク先、日々更新されます。そして、実際にはもっと下まで、感染者がいる全ての国が網羅されています。
えーと、ここからは与太話として。
今のこの状況、ワタクシが小学生だった昭和40年代後半〜50年代初頭にかけての頃であったなら・・・
「今年の風邪は・・・何だか伝染りやすいし、ずるずる症状長引くし、たまにぶり返すし、そこそこ拗らせる人もいたりして、お年寄りや体の弱い人なんか亡くなることもあるしで・・・ちょっと質悪いね」
・・・くらいの話だったんじゃないかな、とか思ったりもしてます。
まだまだこれから増えていくのは間違いないのでしょうけど、とりあえず2月29日までの、全世界の(!)新型コロナウイルス感染者数 85,705人、死者数 2,933人。ついでに言うと、感染した内で回復した人は 39,680人です。
ああ、早くホントの「春」が来ないかな。
いろんな事が(半端に)分かるようになって、人も情報も(無闇に)世界中を駆け巡るようになって、なのにその分、世の中の空気が荒んで殺伐として殺気立ってるからさ。いやいや、これもね、全ての人ではないにしても、なんですが・・・
どうでも良いことですが、ウチの奥様は「そりゃ先のことは分からないよ。でも何したって死ぬ時は死ぬよ。皆一緒に死のうよ」などと放言しております。
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以下「何か言う」のであれば、前提として押さえておきましょう、な資料として。
⚫首相官邸。
「今が正に、感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期となります。このような状況を踏まえ、国や地方自治体、医療関係者、事業者、そして国民が一丸となって、新型コロナウイルス感染症対策を更に進めていくため、今般、政府として、基本方針を取りまとめました」
※首相官邸:令和2年2月25日 新型コロナウイルス感染症対策本部(第13回)
→http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202002/25corona.html
※首相官邸:「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」
→http://www.kantei.go.jp/jp/content/kanren.pdf
「政府といたしましては、何よりも、子どもたちの健康・安全を第一に考え、多くの子どもたちや教職員が、日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで、臨時休業を行うよう要請します」
※首相官邸:令和2年2月27日 新型コロナウイルス感染症対策本部(第15回)
→http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202002/27corona.html
今回のウイルスについては、いまだ未知の部分がたくさんあります。よく見えない、よく分からない敵との闘いは容易なものではありません。率直に申し上げて、政府の力だけでこの闘いに勝利を収めることはできません。最終的な終息に向けては、医療機関、御家庭、企業、自治体を始め、一人一人の国民の皆さんの御理解と御協力が欠かせません。
皆さんの暮らしに直結する決断には、当然、様々な御意見、御批判が伴います。内閣総理大臣として、そうした声に真摯に耳を傾けるべきは当然です。しかし、それでもなお内閣総理大臣として国民の命と暮らしを守る。その大きな責任を果たすため、これからも先頭に立って、為すべきことは決断していく。その決意であります。
※首相官邸:令和2年2月29日 安倍内閣総理大臣記者会見
→http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0229kaiken.html
⚫内閣官房 日々更新されてます。
※内閣官房:新型コロナウイルス感染症の対応について
→https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html
⚫国立感染症研究所から。そもそも「コロナウイルス」とは・・・
ヒトに蔓延している風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られている。
1.風邪のコロナウイルス HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1
2.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)
3.中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
一般市民の方々、感染症診療に携わる皆様方へ
新型コロナウイルス感染症への対応ではご理解とご協力をいただき誠に有難うございます。
2月25日に政府からも本感染症に対する基本方針が発表されました。
感染症診療に関わる皆様のご参考になるよう、現時点における感染症の特徴と注意点を資料としてまとめさせていただきました。
院内の勉強会や患者様への説明などにご利用いただければ幸いです。
また新しい情報が入りましたら適宜更新させていただきます。
これからの数週間、行政、関連学会、医療従事者、関連企業が一般市民の皆様と力を合わせながら行動していくことが重要になります。
引き続きご理解とご協力を宜しくお願いいたします。
中国国家衛生健康委員会の29日発表によると、湖北省を除いた中国本土で28日、新たに新型コロナウイルスに感染した人は4人にとどまり、1月の集計開始以来、最低となった。
一方、震源地となった湖北省の28日の新たな感染者は423人で、前日の318人から増加した。ほぼ武漢市に集中しており、420人の感染が確認された。
※ロイター:中国本土の新規感染者、湖北省外では4人に 集計開始以降で最低
→https://jp.reuters.com/article/china-health-toll-idJPKBN20N04C
⚫こちらは良くないニュース。
世界保健機関(WHO)は28日、新型コロナウイルスが世界全体に及ぼす危険性の評価を最高水準の「非常に高い」に引き上げた。ウイルスは新たにサハラ以南アフリカにも拡大しており、各金融市場の急落を招いている。
※AFPBBニュース:新型コロナ世界リスク「非常に高い」 WHOが評価引き上げ
⚫こちらの2本は参考として。興味深い記事です。
※ForbesJAPAN:政府の動きで死者数が8分の1に。スペイン風邪の疫学データからみる新型コロナ対策
→https://forbesjapan.com/articles/detail/32628/1/1/1
※ForbesJAPAN:休校は本当に有効?新型コロナ対策を最新症例データから分析
→https://forbesjapan.com/articles/detail/32673/1/1/1
最後に、新型コロナウイルスそれ自体は正式名称「SARS-CoV-2」、つまり季節性インフルエンザというより、SARSウイルス(SARS-CoV)類似という扱いになっているようです。その意味するところは、いまひとつ良く判りませんが・・・