3829号「海外一人旅で、野性的になる!」
講義録3829号
(2014/12/30)
ご訪問、心より感謝申し上げます。
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今から、30年近く前、タイとミャンマーの国境まで行ったことがある。
バンコクから国内線でチェンマイに行き、チェンマイから、プロペラ機で国境近くの町チェンライまで行った。
我ながら、よく、ここまで来たなー、
と周りを見回した。
すると、背後から、声をかけられた。
「日本からですか?」
こんなところで日本語を聞いたので、びっくりした。
「えぇ。」
「こんなところまで、よく来ましたねえ。」
私は尋ねた。
「(あなたは)、こちらにお住まいなのですか?」
「いえいえ、日本で少し仕事して、毎年数ヶ月こっちにいるんです。」
隣に、小柄な女性がいた。
「昨日ね、この女の人が、ビルマ(現在の、ミャンマー)から、逃げて来たので、かくまってあげているんですよ。」
その女性は、ビルマ人だった。
聞けば、この日本人の男性は、ビルマとタイの間を行ったり来たりして、小冒険をしているらしい。
当時、ビルマは、鎖国していて、日本人は入れないはずだった。
こんな日本人もいるんだなあ、と思った。
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タイ人の大学生といっしょに、バス旅行をした。
タイのバンコクから、北方のチェンマイまでの、夜間バスに乗った。
夜8時にバスは出発した。
明日の朝には目的地に着く。
そろそろ寝ようと思った。
すると、突然、運転手の男と、助手の女が口げんかを始めた。
口げんかは、なかなかやまず、ますます激しくなってきた。
バスの乗客たちは、面白がって、その口げんかを聞いていた。
助手の女性が、大きい声で何回も運転手の男性をしかっていた。
ついに、途中のバス停に着いたところで、バスの運転手がバスから降りてしまった。
どこかに逃げてしまったらしく、帰って来ない。
助手の女が、乗客に向かって、興奮して説明した。
要するに、
「運転手と私は夫婦である。
しかし、男の方が、浮気している。
たった今、私たちは別れた。」
こういう話だった。
運転手がどこかに行ってしまって、このバス、どうなるのかなあ、と思った。
しばらくしたら、代わりの運転手がやってきた。
(バスの休憩所に、代わりの運転手がいた。)
彼は、何事もなかったように、バスをすいすい運転し始めた。
翌朝、無事、バスは目的地に着いた。
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タイの田舎に行くと、日本人が珍しいらしく、トゥクトゥク(タイの田舎のタクシー)の運転手が、しきりについてくる。
僕が歩いていると、ゆっくりと走りながら、僕のあとを着いてきて、「乗れ乗れ」と言う。
僕は言った。
「暑いから、ビールを飲もうと思っているんだ。」
「オレも、飲むよ。」
「じゃあ、いっしょに飲もうか。」
2人で大きいグラスでビールを楽しんだ。
そのあと、運転手がまた言った。
「オレのトゥクトゥクに乗れよ。」
「じゃあ乗ってあげるか。」
「どこに行こうか?」
「行きたいところなんてないよ。じゃあ、君んちに行こうか。」
「ほいきた。」
彼は、興奮した。
ビールを飲んでいるから、酔払い運転になる。
「おれんちは、10分で着くよ。」
彼は張り切った。
車に積んであるラジカセで、ディスコ音楽を大音響で流し始めた。
いよいよ出発だ。
酔払い運転で猛スピード。
しかも、もう、夜になっていた。
「ここが、オレの家さ。」
のどかな田園地帯に、村人が集まっている。
タイの田舎は、夜、みんな集まって、地酒を飲む。
今日も、村人が、夜を楽しんでいた。
そこに、私たちが、ディスコ音楽をがんがんかけながら、到着したわけだ。
みんな、びっくりもしたが、大喜びだった。
僕が車から降りると、大歓迎された。
若者から、地酒と、果物を渡された。
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