1163号「読んでいる本と実際の自分が正反対 1」


砂辺光次郎

講義録1163

(2008/06/02)


人間、何が嫌われるかといいますと、まずは、たいしたことない人間が偉そうなことを言うとすごく嫌われます。


また、自分が一番言われたくないことをずばり言ってくる人というのも、また、すごく嫌われるものです。


この2点は、違うようで実は同じ原点から出発しています。

それは、「弱い」ということです。

「弱い人」「自信がない人」は、人に説教をよくします。

また、他人が一番言われたくないことをズバリ言います。


このへんのことについては、のちのち書くことにしますが、今後、この2点についてよくよく注意して書いていこうと思っています。


説教調にならないように、それから、相手が嫌がることを言って相手の心を傷つけないように注意したいと思います。

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今日の話は、言っていることと「やっていること」が正反対の人はなぜそうなるのか、ということについて書いていきます。


言っていることだけではなくて、読んでいる本や勉強していることと、実際のその人が正反対である場合も多いので、それはなぜか、ということについても書いていきたいと思います。


以前、成功理論を学ぶ会に参加したことがあるのですが、その会に参加して感じたのは、成功理論を学んでいる会なのに、マイナス思考の人が多い、ということです。

非常に、不思議でした。

プラス思考を学んでいるのに、なぜ、世間の平均よりもたくさんマイナス思考の人が多いのか、とても不思議でした。


なぜそうなのでしょうか。


これは、もっと簡単に世間で見られる現象ですが、好んで読んでいる本と、実際のその人が正反対である、という場合がけっこうあります。


たとえば、「人を愛しましょう」という本を読んでいる人が、実際は、人を愛することを忘れて憎んでばかりいるという場合があります。


また、「成功しましょう」という本を好んで読んでいるのに、実際は成功とは正反対の日常を送っている人もいます。


「心を開放しましょう」という本を読んでいて、実際のその人は、反対に心を閉ざしている、という場合もあります。


本を読んでいても、その本の言っていることと正反対の人間であるのはなぜだろう、と思うのです。


「強く生きよう」「やさしく生きよう」と書いてある本を一生懸命読んでいる人が、まったく正反対である場合もあります。

まったく正反対で、弱くて、また全然やさしくない場合もあります。


「未来を明るく建設しよう」という本を一生懸命読んでいる人が、実際には未来を暗く考えている場合もあります。


まったく正反対です。


これはなぜなのでしょうか。

結論からいえば、自分がその点がダメだから、そのダメな点を何とか支えてもらいたいと思って、そういう本を読むのではないかと思うのです。


自分が正義に生きてないと感じていて苦しいから、「正義に生きる」という本を読んで、心を一時的に解放させたいのかも知れません。


自分が強く生きていないということを感じていてそれがいやだから、「強く生きる」という本を読んで一時的に快感を得ようとしているのかも知れません。

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こういうことは人間に対しても同じことがあります。


自分が弱くて周りにやられていると、開放感を味わいたくて、石原慎太郎氏のような強気の発言を平気でする男が好きになります。

そしてその言動を見ることで一時的に開放感を得ようとするのだと思います。

また、自分の中にいやな部分があってそれが許せないとすると、同じような弱点を持つ人が気になり、きらいになります。


たてえば、自分がずるいと感じている人は、ずるい人をみつけて、嫌います。


自分がケチであって、ケチであることがイヤであると感じている人は、ケチな人を見つけて、激しく嫌います。


弱い人は、弱い人を嫌います。


だらしない人は、だらしない人を嫌います。


人を差別する人は、人を差別する人を嫌います。


自分の弱点を感じている人は、その弱点が無意識的に気になり、同じ弱点を持っている人を嫌うわけです。

言っていることと実際のその人が正反対であるひとつの理由はここにあります。


正義を言っている人の中には、本当は正義に生きていない人もいるのです。


人を差別する人を嫌う人の中には、本当は自分こそ差別している人もいるのです。


全部の人がそうだというわけではありませんが、こういう人もいるのです。

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話を本の話に戻しますが、たとえば、「強くなる」という本を読んで、では、その人が強くなれるかというと、98%無理だと思います。


これは、私が言っているのではなくて、たいていの成功理論の中にそう書かれてあるのです。


これはなぜかと言いますと、ほとんどの人は、本を読んでそれで、自分の弱点をなでるだけで終わってしまうのです。

何にも反省になってないのです。


そういう人に限って、本を読むと「いいことを知った。自慢したい。」ということで人に説教したりするのです。

しかし、それは一時的に優越感にひたれるだけであって、自分自身の反省にまでは行ってないのです。

ですから、私たちはまず本を読むだけの98%の人間にはならないことだと思います。


2%の中に入ることです。


本を読んでいる人で2%の人は自己改造をすることができます。

その2%の人というのは、本を土台にしているわけです。


本に逃げていないのです。


本を踏み台にしているのです。


本に逃げている人と、自己改造をしようとしている人は、全然違います。


98%の人は本に逃げていて、2%の人は本を土台にしているわけです。


この違いは、その人の態度振る舞いを見ればすぐわかります。


これは、スポーツジムでも同じです。


友達がいなくて逃げ場としてスポーツジムに行っている人がいます。


それとは違って、スポーツジムを踏み台として、自分という人間をつくっていこう、という人がいます。


この両者は全然違うわけです。


外から見ればすぐわかるわけです。

本を読んでも、自己改造にまで行かないで、ただ単に頭でっかちになっているのが多いのです。

そういう人の特徴は、他人に説教ばかりして、実際の自分はそのままということです。

これは、一時的に優越感にひたれるので快感があるし楽ですから、温室になっているのです。

ですから始末に悪いのです。


(続きます。)