1145号「天命とは何か」
砂辺光次郎
講義録1145
(2008/05/21)
私たちは生まれてくるときに人生の目的を持って生まれてきました。
これは案外分かりにくいかもしれません。私自身ずっと分からなかったのです。
これについて私はこんなふうに考えています。
私たちの本来の場所は霊界であり、本来の場所である霊界から、ときどき「修行のために」この世に下りてくるのです。
霊界は非常に居心地がいいのですが、あまり長くいると成長がないものですから、数百年に一度ぐらい自分を成長させるために地上に下りてきます。
こんなふうに理解しています。
そのときに、自分の今回の人生のテーマを決めてくるわけです。
たとえば前の人生までは自分は母親としてダメだった。
今回は、夫と子供たちを幸せにできる家庭を築こう、というようなテーマを決めます。
あるいは、自分は学問はできていたが、社会人としては未熟だった。
今回の人生では大きな企業に入って組織の中で働くという経験を積もう、というような目標を立てます。
そして、生まれる親を決め、結婚相手も第一希望から第三希望ぐらいまで決めて生まれてきます。
ついでに言いますと、結婚相手ははじめから決めているので、特に女性の人の場合、何%かの人は初めて会った男性に「あっ、この人と結婚しそうだな。」と感じるようです。
こんなふうに人生の目的をもち、またいろいろ準備をした上で、生まれてきているのだと思います。
人生の目的は成長することです。
そのために、天命を実践するわけです。
天命を貫いて人生を終えると、死があります。
死は霊界への凱旋(がいせん)です。
天命を実践した人は、「自分はやることはやった。」という満足感であの世へ凱旋するわけです。
しかし天命を忘れ、人生の希望もなく、人といさかいながら人生を終えた人は、後悔と恥ずかしさでいっぱいになりながらあの世へ戻るわけです。
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こうしたことは信じられない人もいると思います。
私もぴんと来なかったのです。
ただ、あるとき霊界の構造を自分なりに勉強したとき、霊界とこの世の関係が理解でき、さーっと納得するようになりました。
(これはたとえば、全然読めなかった楽譜が、あるときを境にしてさーっと理解できた感じと同じです。
勉強をしていたら、あるときに全体像がつかめた、という感じでした。)
自分にとって天命とは何か、生まれるときに考えていた人生のテーマとは何か、ということに関心を持つ方は多いのではないかと思います。
自分にとっての天命を知る手がかりがいくつかあります。
まず、たいていの場合、自分が心から大好きなことです。
魂がうずくことです。
そして、大好きなことだから、お金をもらえなくてもしたいことです。
そしてやってもやっても疲れません。
だから、休み時間になるとやりたくなります。
また、周囲の人が「ずいぶんつまらないことやってるんだね。」と笑ったとしても、それでも自分はやってしまうことです。
ただし、場合によっては、「苦手で、できたら避けたい」ということが天命である場合もあります。
たとえば、人前でしゃべるのが苦手な人が、自分の弱点克服のために、講演会を開くことを天命としている場合もあります。
それ以外のよくある例としては、たとえば、本当は天命が何かの営業活動なのですが、最初に心に傷を負ってしまったので「これだけはしたくない」ということになってしまったというような場合もあるわけです。
天命をつかんだ人はイキイキとしています。
たとえばファッション・デザイナーの山本寛斎(やまもと かんさい)さんなどはその格好の例だと思います。
天命をつかんだ人は、そのときの流行や、他人の嘲笑などには影響されません。自分の魂のうずきに忠実になります。
たとえば、ファーブルは虫を観察するのが大好きでした。周囲の人が笑っても、虫眼鏡で昆虫を観察していました。ちょっと暇があれば、もう虫眼鏡を出して観察をしていました。
(続く)
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