プラトンの師であった哲学の祖・ソクラテスは、デルフォイの神殿の門に刻まれた
「汝自身を知れ」
という言葉に導かれて哲学したと伝えられています。
学問の目的のひとつは世界を知ることで、もうひとつは自分自身を知ることです。
自分を知るということは、結局自分の「心」を深く理解するということだと思います。
私たちの心には、数や図形を理解する力が与えられています。
数学を学ぶことで、この力を発見し、鍛えてゆくことができます。
心の中にある数の世界を探究することが、数学を学ぶということであり、
自分自身(もちろん全でではなく、一部ではありますが)を知ることにつながるのです。
ここで、東洋の思想にも目を向けましょう。
仏教の目的は「悟り」です。
「悟」という漢字は、りっしんべん(立心偏)に吾と書きます。
悟りとは、自分自身の心の本質を真に知るということなのかもしれません。
ですから、数学は仏教的な悟りにもつながってゆくものだと思っています。