布団を並べて寝る前にした会話
『起きてますか?』
「起きてるよ」
『原因さんが最後の出社日の時なんですが』
「遅くまで本社に残って片付けを手伝ってくれたときですか?」
『そうです、今だから言いますけど』
「なんですか?」
『凄く、凄く辛かった』
「発作が出たって言ってましたよね」
『僕は感情が欠落している部分があると思っています。父方の祖母か亡くなり、棺を霊柩車に入れ最後の別れ時に母が泣いていました。周りを見ると祖母の友達や近所の方々が泣いていました。僕には理解が出来なかった、実父が亡くなった時も僕には悲しみが理解出来ませんでした。けど、あの日、原因さんが書類をシュレッダーにかけてくれる?って手渡されたされ、書類をシュレッダーにかけて入るときに、こんな仕事をしていたんだ、この書類って一緒に駆けずり回って片付けたなとか、書類の中に原因さんが沢山詰まっていました。原因さんの歴史と言うか、原因さんとの思い出が沢山詰まっていました』
「辛いことをさせたね、ゴメン」
『僕はシュレッダーをしているときに、これが悲しみという感覚を理解でしました、悲しみってやっかいですね、こみ上げてくる悲しみが堪えられなくなって、発作が出て備品室で苦しみました』
「そっか、辛いことさせたね。けど、ありがとう。書類を見て、僕が書類に詰まっているなんて初めて言われました」
『僕は辛かった、本当に本当に辛かった。自分の手で原因さんを消していくのが辛かった。けど、誰にもやらせなくなかった』
「ありがとうね、辛い役回りをしてくれて」
僕は涙を流しながら、泣き声混じりで
発音もままならない声で原因さんに伝えました
原因さんを見てみると
原因さんは僕に背を向けて寝ていましたが
肩が震えていました
泣いているのか、泣いていないのか
わからなかったけど、肩は震えていました
話をした日、原因さんは泣いていたんだろうか
涙を堪えていたんだろうか
僕にはわからない
少なくとも、僕は泣いていました
会話が終わってお互いに無言になり
お互いに「『おやすみ」』と声をかけて眠りました