ジブリの「コクリコ坂から」をヘリテージングしました | ヘリテージング見聞ログ@BLOG

ジブリの「コクリコ坂から」をヘリテージングしました

 わが団地での第3回ヘリテージング倶楽部は2部構成でした。第1部「文部省唱歌・ふるさと」については前々回ブログに書きましたので、第2部「ジブリアニメ コクリコ坂から」について書きます。
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 舞台は昭和38年横浜、港の見える丘に建つ古い下宿屋。ここで住人の炊事洗濯を一手に切り盛りする女子高生の松崎海(うみ)ちゃんが主人公。古い由緒ありげな邸宅が下宿屋「コクリコ荘」です。
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 一方、彼女が通う高校には「カルチェ・ラタン」と呼ばれる、これまた由緒ありげな古い建物があります。文化部の部室が集合する巨大なゴミ捨て場のような巣窟。あまりにも古く汚いので取り壊しの危機に瀕している。
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 この2つの古い建物、「コクリコ荘」と「カルチェ・ラタン」がヘリテージングの対象です。

 コクリコ荘にはモデルがあります。JR根岸駅から歩いて250メートル、「根岸なつかし公園」に移築保存されている旧柳下邸がコクリコ荘のモデルなのだそうです。

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 さっそく行ってきました。映画と違って海を見下ろす丘の上ではなく下にありました。でも純和風の母屋に、一間(ひとま)洋館と呼ばれる小さな洋館がつながった造りはコクリコ荘と同じです。
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 大正8年の建設、埋め立て前の根岸は丘のすぐ下は海でした。港横浜に近い景勝地とあって、当時、根岸の丘は外国人の住宅が多く、丘の下は富裕層の別荘や別宅が並んでいたそうです。旧柳下邸もそのひとつ。根岸別荘地に残る貴重な本格的住宅建築で、市指定有形文化財として公開されています。
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 「カルチェ・ラタン」に関してはなにも資料がなく、モデルは私の想像で探すしかありません。
 手がかりは以下のとおり ①木造3階建て ②外壁は下見板貼り ③正面玄関の上にベランダがある ④窓は上げ下げ式 ⑤窓の上部に三角形のひさし(ぺディメント)付き ⑥屋根中央に塔屋がある ⑦塔屋にはアーチ型窓がひとつ ⑧塔屋の上に時計台が乗った2段構造 
 こういう特徴をもつ和洋折衷の建物を探すわけですが、確か山形の鶴岡市にこんな建築物があったような気がして、ネットで確認してみました。
 鶴岡市の到道(ちどう)博物館の敷地内に「旧鶴岡警察署庁舎」が保存されていて、いちど行ってみたくて記憶に残っていたのですが、同じ敷地にある「旧西田川郡役所」の方がよく似ていることに気がつきました。ドンピシャ!

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 3階建てと2階建ての違いはありますが、窓の形、塔屋の上に積まれた時計台の様子などそっくりではありませんか。「旧西田川郡役所」にカルチェ・ラタンと同じオレンジと緑色を着色してみました。見れば見るほどそっくりです。やったー!
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 それがどうした、といわれれば、まあ、それまでのハナシ。ヘリテージングにはこういう遊び方もあるということです。