ANCIENT MYTHの主催企画『Abyss from ancient Vol.3』のために吉祥寺へ。次週発売される3rdアルバム『AKASHIC』のレコ発でもあった。


休みにできたはずが急に仕事が入り、早く終わらせようと朝早くに家を出たら、前の晩に降った大雪のせいで車のエンジンが凍結。JAFを呼ぶも2時間近くかかり(なのに到着した途端に直ってやんの)足止めを喰らうという有様。この時点ですっかり気分が萎えているが、こうも災難続きだとかえって意地でも行ってやろうという気になる。幸い仕事は早々に抜けられたが、向かう途中の電車が地震やら車両点検やらで2度もストップするなど、何かに呪われているとしか思えない。


会場のクレッシェンドはメタル系のイベントに力を入れている箱で、ANCIENT MYTHも頻繁にライブを行っているが、開場2時間前にチケットの清算を済ませ、整理番号順に入場するという独自のシステムを採用している。多くの集客があるイベントの場合(ちなみに今回はソールド・アウトになったそうだ)入場の手続きに時間がかかり開演時刻に間に合わないためだろう。メタルのライブを後ろで大人しく観ても仕方がないので、できるだけ早く入場したいが、午前中に用事が入ると受付開始時刻に間に合わず、地方から上京する身としては厳しいものがある。会場に到着した頃には1時間近く経過しており、番号は20番台だった。


また、整理券と共にディスク・ユニオン吉祥寺店の当日限定割引券ももらえるのだが、ディスク・ユニオンがある繁華街と町外れに位置するクレッシェンドは正反対の方向なので、足を運ぶ気にはなれない。しかし今回は、割引券を使って買い物をするとANCIENT MYTHのメンバー全員のサインが入った写真がもらえるというので行くことにした。


それにしても品揃えが最悪。店舗自体はけっして狭くないのに、大半が中古盤ばかりで、メタルの新品となると100枚もないのではないだろうか? メタルではめぼしいものがまったくなかったので、レゲエのレア音源の再発CD(こちらはわりと充実していた)を適当に1枚選んで“ミッション”を完了した。


その後、ラーメン屋で遅い昼食。開場時刻には間に合わなくなるけれど、これから何時間も立ちっぱなしになる上、終了後には終電の都合で夕食を取る時間もない。くたくたに疲れているのに漫画喫茶で夜を明かす事態はなるべく避けたい。


開演前、ANCIENT MYTHの物販ブースに立ち寄り、事前にネットで取り置きしておいたグッズを手に入れる。加えてサイトでは売り切れになっていたVネックのTシャツも購入できた。壁に展示されていたものだが、これが最後の1枚なのだとか。だんだん運が向いてきた。


対バンは総勢4組。トップ・バッターのPAX IN TERRORのみ男性ヴォーカルのパワー・メタルだが、その後に続くVAMPIRE PLEDGE、シェーンベルク、TEARS OF TRAGEDYはいずれも“嬢メタル”で、ゴシック系ないしそれに通じる耽美的でシアトリカルな演出を取り入れており、見応えがあった。


個人的に、とりわけ衝撃的だったのはVAMPIRE PLEDGE。


もろにデーモン閣下をパロった大仰なナレーションで幕を開けたかと思うと、メンバー全員が不気味なメイクとコスチュームを装い(ちなみにドラムスはANCIENT MYTHのJUHKIが掛け持ち)、サタニックなサウンドを繰り広げる(とはいっても曲調自体はストレートなのでそれほどマニアックな印象はなく、やはり聖飢魔Ⅱに近い)。それでいてヴォーカルの声質や佇まいはアイドル風で、アキバ系にもアピールするキャッチーさも兼ね備えている。


しかしこれはまさしく、私が十代の頃にやりたくて音楽誌(「バンやろ」とか)にメン募を出しまくっていた音楽性そのものではないか! カッコ良いけど、ちょっとくやしいぞ。


続くシェーンベルクは、たしかずいぶん前にデモ音源を聴いたことがあったけれど、その時の宅録丸出しのチープなサウンドとは打って変わって、重厚なネオ・クラシカル・メタルを演奏していた。女性ヴォーカリストのファルセットを駆使する豊かな歌唱力、「シェーンベルク劇場へようこそ!」といったMCがオペラチックな世界を構築する。


TEARS OF TRAGEDYは名前だけよく目にしていたが、THEATRE OF TRAGEDYに酷似したバンド名のせいでメロデス系かと思い込み、スルーしていた。しかし実際にはデス系の要素はまったくなく、高揚感溢れるメロディーを力強く歌い上げるパワー・メタル。VAMPIRE PLEDGE、シェーンベルクらと共に、即座に音源をフルコンプしたくなるほど私のツボにはまるサウンドであった。やっぱり食わず嫌いはいけませんね。


そしてトリのANCIENT MYTH。ニュー・アルバム収録曲中心のセットリストながら、脱退したMITTUの作曲による『SEED』と『ELEMENTAL DESIRE』も封印されることなく演奏された。MITTUの気高いメロディー・センスが特に気に入っていた私としては一安心。ただしMICHAL加入以前に発表された1stアルバム『ANTIBES』からの曲はなかった。


アンコールでは2ndアルバムのタイトル曲『ASTROLABE IN YOUR HEART』が披露されたが、序盤でギターの音が出なくなり、ギタリストのYURIがステージ袖に一時退却するというトラブルも。


どのバンドも幕間のセッティングが長く、時間が押し気味だったので、終電に間に合うかヒヤヒヤしていたが、なんとか無事に帰宅できた。


電車の中でANCIENT MYTHのチケット予約特典「ウァレンティヌスの呪い」を美味しく頂く。アルバム発売に先駆けて公開された『rw-rw-rw-(ちなみに「パーミッション」と読む。コンピュータ用語で“rw-rw-rw-”は数字の「666」を表す)』のPVで「鍵」が重要な小道具として用いられていたのを思い出す。そう言えばライブ中もヴォーカルのMICHALが客席の何人かに手渡していた。


色々あっても目的はすべて果たせたし、終わり良ければすべて良しだ。