『東京モーターショー』最終日のこの日は17時までだが、夜は渋谷で女性5人組のヘヴィ・メタル・バンドMARY'S BLOODのワンマン・ライブがあるため、14時半ごろに退出。
渋谷に着いたら、まっさきにディスク・ユニオンへ向かう。レアな中古アナログ盤がけっこう出ていて、その中からMORTIISの1stデモを150枚限定でLP化したものを購入する。かさばるのでコイン・ロッカーに入れようと駅まで戻るも、日曜のためかすべて使用中。
場内にロッカーがあることを祈りつつ、ネットからプリントアウトした地図を見ながら会場のライブハウス「TAKE OFF 7」を探すと、なんとユニオンのすぐ先だった。しかも隣にはロッカーも設置されており、かなりの空きがある。
購入した品物のほか、リュックサックも入れたが、オフィシャル・グッズのタオルを出し忘れたことに気づき、もう一度開ける。200円とはいえ余計な出費だが、『SAVE THE QUEEN』のサビでぐるぐる回すのが定番になっているので、せっかくのワンマンを満喫するためにも欠かすことはできない。定番といえばバラードの『MARY』でサイリウムを振ることにもなっているが、ロッカーに使う小銭をどこで崩すか迷い歩いて時間を潰してしまったので、そちらは諦めて開場まで待つことにする。
ライブは最新シングル『LASTGAME』のタイトル・チューン……ではなくその2曲目の『RED LINE』という意外な選曲で幕を開けた。中盤ではアコースティック・セットを挟み、唇のピアスがトレードマークのギタリストCHIBAがピアノを披露した。そのパンキッシュなファッションとは裏腹に、流暢に奏でられるピアノの上で歌われるのは『君をのせて』。奇しくも一昨日にテレビ放映されたアニメ映画『天空の城ラピュタ』のテーマ・ソングだ。軍服を思わせる凛々しいコスチュームで普段は男性的なアクションを決めるEYEが、打って変わってとても優しい声で歌い上げる(なおアニソンのカヴァーでは他にも『灼眼のシャナⅡ』のテーマ・ソング『JOINT』も演奏)。
ギャップということでいえば、ベーシストのNIBOSHIがMCで物販の宣伝をしていた。小柄で華奢な容貌から、大人しい性格なのではないかと勝手に思い込んでいたのだけれど、饒舌に喋っていて驚いた。こうした通常の(対バン形式の)ライブでは見ることのない場面を楽しめるのも、ワンマンの醍醐味だ。
1時間半ほどのセット・リストでは、当然ながら先述の『SAVE THE QUEEN』や『LASTGAME』も含め音源化された曲はすべて演奏されたが、半分近くが未音源化曲である。まったくの「新曲」も1曲あり。ちなみに先述の『MARY』では、曲が始まる前にファンの有志がサイリウムを配布し、おかげで私も光の列に加わることができた。ありがたいことです。
思い起こせば初めて観たライブではパンク寄りの印象も受けたが、それは会場の音環境(の劣悪さ)によるものだったようだ。今回あらためて確認したのは、やはりメアリーはまごうかたなき「ヘヴィ・メタル・バンド」である、ということ。MARIの重戦車のごときドラム・ソロが、その事実を端的に物語っていた。
その上で、戦隊物のヒーローよろしく各々のキャラが立った5人の「(誤解を恐れずに言えば)アイドル性」が発揮されることにより、マチスモとは異質の力強さとしなやかさを、MARY'S BLOODというバンドは体現しているのだ。
ただ、楽曲自体はどちらかと言えば「スルメ系」だと思う。未音源化曲もライブを何度か体験するごとに耳に馴染んできたものの、CDで事前に聴き込んでいたならもっと楽しめただろう。
もっともそれは不満ではなく、むしろ来るべきフルレンス・アルバムと、それに伴うであろう再度のワンマンへの期待に繋がるものだ。「嬢メタル」のブームがいずれ沈静化してもなお、メタル・シーンを生き抜いていく5人の結束と可能性を実感できた一夜だった。