りょうかんさま 4 | こすも* LOG     HUG and CHOOOO☆

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4 のびた たけのこ
*やさしい こころ

 ある 日、りょうかんさまは、えんのしたに、たけのこが のびて いるのを みつけました。
 たけのこは えんがわの いたに あたまを おしつけて、くるしそうに して いるのでした。
「やっ、これは かわいそうに。」
 りょうかんさまは、おひゃくしょうさんの いえへ はしって いきました。
「たけのこが のびたのです。のこぎりを かして ください。」
「たけのこなら、くわで ほれば いいのですよ。」
「いいえ、のこぎりが いるのです。」
 おひゃくしょうさんは、りょうかんさまに のこぎりを かしました。けれども ふしぎで なりません。
「のこぎりで きる たけのことは、どんなに ふとい たけのこ だろう。」
 こう おもって、五ごうあんへ のぞきに いきました。
 すると、りょうかんさまは、えんがわの いたを きりおとして、たけのこが のびいいように させて いるのでした。
 おひゃくしょうさんは、かんしんしました。
「りょうかんさまは こどもばかりで なく、たけのこまで かわいがって いる。なんという こころの やさしい 人だろう。だが、あの たけのこが ぐんぐん のびて、こんどは てんじょうに つかえたら どうする つもりだろう。これは おもしろいぞ。」
 おひゃくしょうさんは、それから 十かほど たった ころ、また 五ごうあんへ みに いきました。
「やっ、こんどは やねの いたを きりおとして、たけを のばして やって いる。」
 りょうかんさまの やさしい こころが、おひゃくしょうさんの むねの おくまで、じーんと しみこんで きました。
 五ごうあんの やねのうえに、はなが ちったり、がんの れつが とおったりして、また いくねんも すぎました。
りょうかんさまは、だいぶ としを とって きました。がくもんの ある すぐれた ぼうさんで ある ことも、にほんじゅうに しられて いました。
けれども、この むらに、りょうかんさまを よく おもわない ひとりの おとこが いました。
「あんな びんぼうぼうずが、なにが えらいものか。ふん、いまに みて いろ。」
 この おとこは、わたしぶねの せんどうの ごんべえでした。
 ある あさ。ごんべえは、りょうかんさまを よびとめました。
「おい、りょうかんさん。むこうぎしへ いくんなら、ふねで わたして やるよ。」
「おお ごしんせつに ありがとう。」
 りょうかんさまは、よろこんで 川ぎしから ふねに のりました。
 ぎっちら ぎっちらと、ふねは ろを ひびかせて、川の なかほどまで すすみました。
「わっ。ながれが はやいぞ。あぶない、あぶない。」
 ごんべえは わざと こえを あげて、いきなり、ふねを 大きく ゆすぶりました。
 うっかりして いた りょうかんさまは、あっというまも ありません。川の なかへ ざぶんと ころがりおちました。
 ういたり しずんだり、また ういたり しずんだり しながら、りょうかんさまは 水に おしながされて いきました。
 ごんべえは こわく なって きました。
「あのままでは しんで しまう。」
 あわてて ふねを こぎよせると、りょうかんさまの えりくびを つかみました。ふねの なかに ひきずりあげました。
 りょうかんさまは、ずぶぬれに なったまま すわると、ごんべえを おがみました。
「あぶない ところを おたすけ くださって、せんどうさん、まことに ありがとう。」
 おれいを いって、きしに あがりました。ころもの しずくを たらしながら、しずかに あるきはじめました。
 ごんべえは、みおくって いるうちに、 じぶんの した ことが、たまらなく はずかしく なって きました。
「ああ、りょうかんさまと いうおかたは、すこしも 人を うたがわない りっぱな おかただ。ほとけさまのような かただ。」
 ごんべえは、こころを すなおに いれかえて、じぶんで じぶんの あたまを ぽかぽか なぐりつけました。




偕成社 「幼年伝記ものがたり12 りょうかんさま」 より
分かち書き、原文まま。原文には漢字にルビ有り。