米電子機器大手アップルは9日(日本時間10日未明)、大画面を持つスマートフォン(高機能携帯電話)の新製品「iPhone(アイフォーン)6」と「6プラス」、腕時計型端末「アップルウオッチ」を発表した。19日から販売する。大画面スマホや4年ぶりの本格的な新製品となる腕時計型端末を投入した背景には、低価格を武器に世界のスマホ市場で急成長する中国メーカーへの危機感がある。中国勢はアップルだけでなく、日韓メーカーのシェアも奪い、市場に地殻変動を起こしつつある。
安さ武器に猛追
「腕時計型端末のイメージを根底から変える」
アップルのクック最高経営責任者(CEO)は9日、米カリフォルニア州での新製品発表会で、アップルウオッチの革新性やデザイン性をアピールした。

世界のスマホ市場で確固たる地位を築いてきたアップルだが、ここへ来て陰りが見えてきている。米調査会社IDCのまとめによると、アップルの4~6月期出荷台数シェアは12%を切った。
シェアを減らしているスマホメーカーはアップルだけではない。世界最大手、韓国のサムスン電子も4~6月期の世界シェアは前年同期に比べ6ポイント以上も低下。同期の連結決算は9年ぶりの減収となった。ソニーも、今期のスマホの販売台数の下方修正を強いられた。
これら日米韓の大手メーカーを尻目に躍進しているのが中国勢だ。世界シェアで昨年5位だった華為技術(ファーウェイ)が3位に浮上し、4位の聯想集団(レノボ・グループ)もシェアを拡大した。
中国メーカーの大きな強みは約14億人の中国の巨大市場だ。低価格製品でもボリューム勝負ができる。
PC市場と同じ道
かつて、パソコン市場では米IBMや東芝などが世界シェアの上位にいたが、製造コストの安さや生産規模で中国や台湾メーカーに抜かれ、失速した歴史がある。
今や、スマホ市場でも中国メーカーが薄利多売型の競争を仕掛けている。追われる立場の日米韓のスマホメーカーが、撤退したパソコンメーカーと同じ道をたどる可能性が出てきている。
さらに、ここ数年、中国メーカーは価格の安さだけでなく、端末のデザイン性や機能も向上させ利用者の支持を集めている。「赤いアップル」と呼ばれる小米科技(シャオミ)も、アイフォーンのような斬新なデザインで中国の若者をひき付け、強力な基盤を持つアップルやサムスンを脅かしている。
アップルのシェア低下は画面大型化の対応に遅れたことが一因とみられている。今回、スマホの画面大型化に加え、アイフォーンとの連動機能を持つアップルウオッチで利用者の囲い込みを進めることで中国勢に対抗する狙いが込められている。
ただ、すでに腕時計型端末市場にはサムスンがアップルに先行して参入するなど、メーカー間で新製品開発の方向性に大きな違いはみられず、差別化を図るのは容易ではない。
アップルが本格的な新製品投入を機に巻き返しに成功するかは予断を許さない。(黄金崎元、ワシントン 小雲規生)