[Reborn]


が怠い。
夕べ、
エアコンもかけず扇風機だけで
終電の酔っぱらいの様に
寝ていたせいだ。
いつもなら自分のイビキで
目が覚める得意技も
昨夜ばかりは効かなかった。

でに時計は
午前11時半を指しており
慌てて食事を済ませた私は
テニスバックを肩に
自宅を飛び出した。
20分の道のりをせわしなく走り
特急電車に飛び乗ると
滝の様な汗が額に流れ
何故か恥ずかしい気持ちで
補助椅子に座った。
流れる景色は
鮮やかな光に包まれていて
素人の目にも昨日の雨のせいだと
なんとなく推測ができた。
いつもの駅で下車して
閑静な住宅街を通過すると
陽の光をたっぷりと浴びた
木々が目に入る。
片隅にある更衣室が見えてくると
それは明らかに熱せられていて
入るものを拒んでいる様だった。
熱いドアノブを引く。
と、部屋の中は
消炎剤の臭いが充満していて
今までのプレイヤーの疲労度が
なんとなくわかった気がした。

実際のテニスコート

約したコートには
まだ誰もいなかった。
私は降り注ぐ光の中で
ストレッチを始めたが
ものの5分もしないうちに
ハードコートが帯びた
熱気のせいで
やる気を奪っていくのだった。
汗がサウナの様に滴り落ちて
これからの4時間が
少し不安になった。
クーラーボックスには
3リッターのスポーツドリンクと
バナナジュース、そして、氷嚢。
これだけの対策をしても
容赦の無い暑さは
確実に体力を奪っていく。

ばらくして隣のコートに
4人の高校生が現れ
ウォーミングアップの
ラリーを始めた。
早いタイミングでボールを捉える
彼らのパワーはとても逞しくて、
心地よいボールの音に私は嫉妬した。

イメージです。


らぐ陽炎(かげろう)。
私はあまりの暑さに躊躇し、
コートの影に一時身を隠した。
やがてメンバーが現れたが
暑さに驚きを隠せない彼らをよそに
私はクーラーボックスの
スポーツドリンクを一口飲んで
軽くシャドースイングをした。
早々にリストバンドをした私は
アニメ“テニスの王子様”
越前リョーマの様にコートに立ち
メンバーのアップを待った。
そしてその時、
私の頭にあるテーマ曲が
私を奮い立たせ
おっさんダマシイに
火がついたのであーる。
来やがれ!灼熱地獄!