セットテープが
再び脚光を浴びているという。
TDKやSONY、Maxellなどの大手メーカーが
続々発売し、筐体がレトロでかっこ良く
音質に温かみや厚みがあり
ハイレゾ時代にこそ逆にその魅力を
感じやすくなった点も見逃せない。

価格が安いスタンダードタイプから
音楽専門に特化したメタルやクロムテープなど
幅広い商品群で陳列棚を席巻していた。


FM放送から流れる
お気に入りの曲を録音した70年代は
エアチェック全盛期だった。
ラジオとカセットデッキが一体になった
いわゆる”ラジカセ”を
親にねだって買ってもらい
オリジナリティ溢れる
自分だけの1本を作る事が
すこぶる楽しかった。
また、好意を寄せている女の子には
お気に入りの曲を集めた1本を作り、
プレゼントする、言わば、
体の良い押し売り状態(もちろん売るのでは無いが)
タイトルシールには"My favorite  songs"と
シールを貼って。

シュガーベイブがいた。
はっぴーえんどがいた。
拓郎やチューリップも。
渾身の力を込めて作る
珠玉の1本には
溢れんばかりの恋の気持ちをしたためた
エアーラブレターだった。

翌日、
自己満足で作り上げたラブソングたちは
ふつーに返却された。
そんな恋の思いをすぐさま消去できるのも
カセットテープのいいところ。