[Newblog]

は勤務していた運輸会社を
2017年に定年退職し、
しばらく別会社の契約社員として
再びハンドルを握る毎日を送っていた。
しかし、ある事がきっかけで
大手コンビニの配送を手掛ける会社に
招き入れられる事となり
1日3便の集荷を約1ヶ月間務め
その後トラックの運転技術や
マナーなど新人教育の職を授かった。
その為に始まった各店舗の配送体験は
昨日で11日目。
ベテランドライバーと共に
40分少々の積み込み作業をして
午後9時センターを出発した。
初店から順調なすべりだしで
納品を完了していき
午前零時を過ぎると
あとは某総合病院内の一店舗を
残すばかりとなった。
院内の営業時間はすでに終了しており
スタッフは無人の為、
店舗外の2つの業務冷蔵庫に
サンドイッチや菓子パン、
パスタ・弁当等を納品するのだが
5℃ともう片方は20℃の設定差があり、
チルドと常温商品を間違えて入れると
全損扱いの自腹となる。

院に到着後、
スロープをバック入庫。
トラックを所定の位置に駐車して
エンジンを止めると
静寂の中に浮かび上がる
非常口のパネルがひときわ目をひいた。
ハザードランプを点灯させたまま
商品を台車におろすと
関係者入り口で暗証番号を押す。
8●06そして、enter。

イメージです

台車と私たちの靴の音しかしない
薄暗いリネン室の前を10m程進むと
院外の中通路に出るが
電源オフの自動扉を力ずくで開け
一般駐車場(外来患者用)に出ると
こもった車の排気で汗が吹き出した。
駐車場の奥まで約20㍍も進むと、
畳一畳分位の冷蔵庫が2基現れた。
預かっていた鍵で
施錠された冷蔵庫を開け
商品が入った7段から11段重ねの
ばんじゅう(注)を入れる。
ハンディースキャナーで
ばんじゅうのバーコードを読み込み
再び施錠して完了。
暗くて生温いその場をあとにしようと
私たちはゆっくりと歩き始めた。

ると、
冷蔵庫よりさらに奥の壁あたりから
女の子の声が聞こえた。

アリーさん、メアリ~さ~ん~。

私たちは一瞬立ち止まり
怖さで凍りついた。
コンクリートの白い壁、
3㍍超の同色のシャッター、
それ以外何も無かった事を
知っていたので尚更怖かった。
駆け出したかったが
台車はそこそこ重く、
置き去りにして帰る訳にはいかない。
再び歩き出した私たちは
後ろを振り返る勇気も無く
台車の音でその声を書き消しながら
自動扉のある院内通路まで
足早に歩いた。
そして、やっとの思いで
トラックのキャビンに乗り込んだ私達は
“あの声、聞いたよな?”
と何度も確認しあった。

ンターに帰り、その話をすると
場内は騒然となった。
所長が話に一言付け加えた。

シャッターの裏は霊安室、
いつでも密かに遺体を運び出す為
病院の奥にある”と。

今、このブログを綴りながら
明日の夜、
再びあの場所に行かねばならない恐怖と
闘っている。

(注)主に食品業界で使用される薄型の容器。