[ Reborn ]
供がまだ小さい頃の話。
家族4人で妻の実家からの帰り道、
息子が急にオシッコがしたい
言い出した。
そこで高速道から一般道へ降り、
竹やぶが続く裏道あたりを思い出し
そこで用をさせてやる事にした。
納車されたばかりのマイカーを
汚されてはなるまいと若干、
ヒヤヒヤしながら目的地へと急いだが
幸い冬の午後8時頃となると
車列はスムーズに流れて
あっという間に現場に到着してしまった。

と娘を車内に残し
息子と手を繋いで小高い丘に立つと
待ってましたと言わんばかりに
放尿する息子。
そこから見える街の灯りはとても美しく、
雄大な景色の中で
私もついでに放尿を始めた。
飛び散る2人のそれは
激しい音を立て芝生に消えていったが
親と子が並んでする男だけの世界は
何故か幸せだった。

イメージです


学2年になった息子は
現在某有名パスタチェーンで
アルバイトをしている。
その日休みを使って
妻の実家に置いてある旅行バックを
取りに行くと言う。
理由を聞くと
合宿運転免許の移動(注)ために使うらしく
私は彼のアッシー君(バブル期の死語)として
まんまと連れ出される事となった。
(注)コロナ渦以前の2017年の話

で家を出たのが午後3時すぎ。
土曜の午後の高速道は快適で
ほんの1時間余りで妻の実家に着いた。
着くや否やあるじが居ない家に換気をし、
しばらく休憩の後、
旅行バックを積み込んで
実家を出たのは午後7時。
京都縦貫道に乗り京都方面へ
車を走らせて間もなく
息子が低い声で呟いた。

オヤジ、しょんべん!」

久しぶりに聞くその言葉に
少しムッとしながら
懐かしい例の場所を思い出した。
アクセルを少し強めに踏み
息子が幼かった頃の
あの竹藪の丘へ向った。
何故か私の心は騒いだ。

場に着き車のドアを開けると
冷たい空気が一斉になだれ込み
息がゴジラの様になった。
私もついでに用を足そうと
ひときわ寒い丘に2人は並んだ。
変わりの無い美しい景色の中に
私達のしぶきは豪快な音を立て
湯気の放物線を描いた。
老いた私と185㌢になった息子。
再び立った地で親と子の思い出と、
男同士の契りみたいなモノが重なり
私の心を熱くした。

冬の芝生に残したしみの話。