[Reborn]
私の座るベンチの近くで飼い主から放たれた子犬が
せわしなく草木を嗅いでいる。
気配を消していた私に気付くと
あふれんばかりの喜びを
尻尾に表して彼(彼女?)は
私に近づいた。
鼻の頭から眉間を撫でてやると
細い目で恍惚の表情を見せたが
私が大声選手権にも似た
大きなくしゃみをすると
子犬は驚いて小さくすくんだ。
“ごめんよ”と囁くと
そそくさと飼い主の元へ
去ってしまった。
明け透けな太陽の光、
不定期に流れ来る暖かな風、
着ていたジャンパーをベンチに置いて
大きな背伸びをした。
普段使わない関節が鈍い音を立てたが
私の中の細胞や血液は
きっと氾濫を起こしているに
違いない。
平凡で
柔らかな日をありがとう。
今日、この時間に出会えた事を
私は感謝したい。

