TVの台風情報がすきだ
父の影響だとおもう。
台風がくると父はTVの台風情報を休みなく見る。
色んな局の、
色んな交通機関の運行状況と、
色んな中継地をひととおり確認する。
私は、ふだん、
朝はTVはつけない。
ところが台風がくると、
朝起きざまTVをつけて、やつの動きを確認する。
当然の習慣のように、色んな中継地を確認する。
三浦半島のテトラポットに波が打ちつけ、
運悪いレポーターが身体をはって雨風をあびて、
新宿駅の南口のシャッターが半開きで、
丸ノ内の交差点で行き交うひとの傘がひっくり返っている。
うむうむ、と思う。
「台風情報はNHKにかぎる。」
各地を確認し終えて、父は言う。
父のつぶやきが、最近分かる気がする。
TV画面の左と下のL字に流れる電車の運行状況を見ているとどきどきする。
けいひんとうほく、けいひんとうほく、
と見逃さないように固唾を飲んで見守る。
見逃したらもう一週。
秩父鉄道が止まっている。
宇都宮で運転みあわせ。
横須賀線、五割。
へぇ、あそこでは、そうなのか、と余計な心配もしてみる。
動いていることを確認してそわそわと出かける。
午前中には晴れ、
昼過ぎには電車もほぼ元どおり。
台風のことなど忘れて、
帰ってきて、ごはんを食べたら実家から電話。
台風大丈夫だった、
無事帰ってこれた。
母が聞く。
珍しく父も電話にでる。
今日も台風情報見てた?
と聞くと、
朝からNHK見て、
今、夜のニュース見ながら台風の被害状況を確認しているんだ。
と、父はこたえる。
父は、もしかしたらこっそりと任命された、
台風から日本を見守るひとなのかもしれない。
子供の頃、
朝になっても薄暗い空に感じた心細さはなんだったのだろう。
雨戸ががたがたと揺れ、
台風情報は絶え間なく流れ、
居間の床と壁がしらじらしく感じた。
そこには孤独と
少しのノスタルジィが漂っている。