鏡開きまでの間もうちょっとお正月の余韻を。新年にいただく「お屠蘇」について。



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何気なくお正月に飲んでいる「お屠蘇」は、いわずもがな薬酒、つまり立派なハーブ酒。「屠蘇延命散」とも呼ばれ、「1年の邪気をり、魂をらせる」という意味があるのだとか。軽く調べたところ、起源は中国の唐の時代に遡り、日本でも実に平安時代から飲まれてきたそう。2千年以上もお屠蘇を飲み続けてきているってことは、ただのオマジナイとか迷信じゃなくて、ちゃんと効果があるってことなのでしょうね、きっと。


そんなお屠蘇に含まれるハーブは、桂皮(または肉桂)、山椒、防風など10種類くらい。たとえば、今私の手元にあるのは鶴岡八幡宮からいただいたもので、原材料は以下の通り。


陳皮(ミカンの皮)

桂皮(シナモン)

花椒(山椒と同属別種、カホクザンショウ)

蒼朮 (ホソバオケラ)

丁子(クローブ)

防風

桔梗


多少のブレンドの違いはあれど、基本はこんな感じでしょう。ざっと説明すると・・・


陳皮は七味とうがらしでもおなじみだし、シナモンも洋の東西問わずよく使われます。山椒の代わりに使われている花椒は、四川料理などで使われるスパイスで、麻婆豆腐には欠かせないもの。中国ではホアジャオっていうそう。丁子はフトモモ科の樹木の花莟で、カラダを温めたり内臓の消化器系の強壮に役立ちます。同時に西洋でもクローブといえば「オレンジポマンダー」に使われてきたように、強い殺菌力で疫病を防ぐとされています。


次の「朮」って見慣れない漢字はオケラというキク科の草。よく耳にする「オケラ街道」とか「オケラになる」などのコトバは、正確にはどうだかわかりませんが植物ではなく昆虫のオケラに由来するらしいです。童謡「僕らはみんな生きている」に登場する“オケラだって~♪”はもちろん昆虫ですよね。

一方、植物の「オケラ」は、上記の文字をクリックしてリンクをたどってもらばとおわかりのとおり「白朮(オケラ)」と「蒼朮(ホソバオケラ)」と2種類あってそれぞれ薬効も違います。屠蘇散では白朮を使うことの方が多いような記載もみられますが、鶴岡八幡宮ブレンドでは何故「ホソバオケラ」なのか少々興味もそそられます。


防風は、お刺身のツマで使われる「浜防風」とは別物。名の通り「風邪を防ぐ」薬効があるそうで、桔梗は紫色の花がさくあの桔梗の根を用います。


クローブのように東洋でも西洋でも共通するスパイスの使い方をみていくのも面白いですね。お屠蘇とオレンジポマンダーは同じ薬効がクローズアップされているってわかります。けれども例えば、たどってきた風土や歴史によって、同じ植物でもどの部分を薬効とするのか解釈がまったく逆ってこともあるのだとか。さらに、料理に家事にと生活のオールラウンドに密着してきたハーブやスパイスたちが、現在の「薬学」の礎になっているってことも非常に奥深いです。




さて。お屠蘇の作り方は、大晦日の夜に清酒一合に浸して薬味を浸出させるというもの。一年の邪気を払い無病息災を祈って子どもからお年寄りまで家族全員でいただいてきました。


我が家でお屠蘇を作るのは父の仕事。ウチのお屠蘇は清酒にお砂糖を入れてかきまぜずにそのままにしておきます。そこに屠蘇パックを入れます。


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写真の左側、底が白っぽくなっているでしょう。かつて父はかなりの酒豪でした。なのに、わざわざお砂糖を入れてくれたのは、おそらくお酒が弱かった母と私ら子どもたちが小さかったころの名残なのでしょう。今までなんのフシギも感じなかったけど、ちょっとホロリとさせられます。


なお、お砂糖入れてもアルコールは体質的に受け付けないのという方や、たまたまお屠蘇ティーバッグが余ってしまった場合には、お風呂に入れるなんてアイデアも。他に何か思いつくかな・・・普通にお湯で淹れたら、さすがに苦そう?!あ、でもこの成分・・・ミカンの皮にクローブってことは、最近私がはまっているハチミツオレンジにいいかも・・・今度ためしてみようっと。