桜・てんぐ巣病は水分の多い場所で発生しやすい。
前回からの続きです・・・・サクラのてんぐ巣病の原因となるカビ
の一種・タフリナ属菌  は、いったいどんな生命活動をしているの
でしょう。不明な点が多いとされてはいるのですが、おおよそつぎ
のような菌の生活史が考えられています。

 花の最盛期がすぎた前後に縮れた葉の裏側の病巣部に子実を形成
 ↓
 単独で新らしい個体となりうる、子実という細胞が層状になる
 ↓
 この子実層の表面に成熟された胞子が多数できる
 ↓
 この胞子が雨天日に、病葉を流れる雨滴に混じる
 ↓
 落下する雨滴から 胞子が空気中へと分散される
 ↓
 分散された胞子が、まわりのサクラの樹体にとりつく

と、いったものです。

その後、分散してサクラの樹にたどりついた胞子が、いつどのように
サクラのどの部分について樹体に侵入するのかは、いまだに謎とさ
れているのですが、はっきりしているのは、伝染には水分・つま
り湿度が重要な役目を果たしている
という事実があります。

それはサクラ、とくにソメイヨシノのてんぐ巣病が発生している場
所からも推察できます。このてんぐ巣病という病気が発生しやすい
場所が、河畔や沢沿い・谷間沿い、そして高原の濃霧地帯といった
場所に生えているサクラに多いのです。加えて人為的な面からみて
も、桜の樹が密植されすぎている場所や、たとえば日当たりや風通
しの条件の悪くなりそうな石垣や建物などの構造物の陰にあるサク
ラの樹で発生が多くなる事実からも検証されています。

それはまた逆に、たとえば日当たりの良い場所に植えられているサ
クラや疎植されていて空気湿度の少ない場所では、てんぐ巣病の発
生が少ないという事実からも推測することができます。

ということで今回は、結果的にサクラを枯死させることにもつなが
るてんぐ巣病が多発しやすいのは

  日照条件が充分ではない場所
  空気が乾きにくい場所
  空気湿度が高い場所
  サクラの樹が密植状態になっている場所

であるというおはなしでした。→前回の魔女のほうきの話はこちら


晴れ 急いでサクラの観光地にしようとしてついつい本数を
  植えこみすぎたり、日照の少ない場所で とにもかく
  にも植えちゃったり などといった、ヒトの はやる
  気持ちがてんぐ巣病を呼び込んでいるという面も、お
  おいに影響しているのかも~ですよ。
  さらには天気、開花期に雨天の多すぎる年では次の年
  の発生が助長されそうです。
  
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




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