子宮筋腫と不妊症のための漢方薬

子宮は鶏の卵くらいの大きさで、伸縮性があり妊娠すると胎児の成長とともに出産まで大きくなります。
子宮は平滑筋である子宮筋層、その内側の子宮内膜、その外側の漿膜からなります。

子宮筋腫は子宮筋層にできる良性の腫瘍になります。
女性ホルモンの影響で大きくなり、閉経により小さくなります。
筋腫のできる場所によって、子宮筋から外側に向けてできる漿膜下筋腫、子宮の筋層内にできる筋層内筋腫、子宮内膜側にできる粘膜下筋腫の3種類に分けられます。

子宮筋腫の多くは自覚症状がありませんが、筋腫の場所、大きさによっては月経量の増加、不正出血、激しい生理痛、頻尿などになります。

中医学では子宮筋腫を「血」(けつ)が滞りやすい体質により、腫瘤・かたまりができやすくなると考えます。血流を良くして腫瘤・かたまりを取り除き、痛みを和らげる活血の働きがある漢方薬になります。活血薬には桂枝茯苓丸、温経湯、芎帰調血飲、折衝飲などがあります。
しかし、活血だけは出血しやすくなったり、月経血量がさらに多くなったりするので、活血薬と田七人参などを併用します。田七人参には活血と止血の相反する働きがあり、また痛みにもいいです。

月経量が多く貧血のある方は四物湯、帰脾湯など血を補う漢方薬を併せて飲まれるといいです。

不妊症の方の治療では活血薬を基本に月経期、卵胞期、排卵期、黄体期と漢方薬を飲み分ける周期療法を組み合わせます。
 子宮筋腫のある方ですと、血の滞りに加え、出血により血の不足が多くみられます。そうすると子宮内膜が硬く、薄くなり、着床ににくくなります。子宮の血の流れを良くして、着床しやすい、温かさ、厚み、柔らかさ、分泌液が十分にある子宮内膜に整えるための漢方薬になります。このような内膜は受精卵にとって内膜にもぐりこんで安定できる、あたたかくふかふかのベッドになります。
 

漢方薬服用に際しては専門の医師または薬剤師にご相談下さい。
子宮内膜症と不妊症のための漢方薬

 子宮内膜症では子宮の内腔以外の腹腔、卵巣、ダグラス窩などに子宮内膜組織が増殖します。子宮内膜と同じくエストロゲンにより増殖、剥離を繰り返します。炎症や出血により癒着を引き起こすことがあります。卵巣にできるものをチョコレート嚢胞といい、子宮筋層内にできるものを子宮腺筋症といいます。原因としては月経血の逆流、免疫機能の異常などの説があります。強い生理痛、腰痛、排便痛、性交痛、不妊症などの原因になります。

 中医学では血流を良くして、子宮内膜の異常増殖を抑え、腫瘤・かたまりを取り除き、痛みを和らげる活血消腫の働きがある漢方薬になります。活血消腫の漢方薬は血流を良くする働きが高く、月経血量が多くなることがあるので、活血消腫薬と田七人参などを併用します。田七人参には活血と止血の相反する働きがあり、痛みにもいいです。
 また気の流れを良くすること、五臓の働きを整え免疫力を高めることが大切です。気(身体のエネルギー)の流れを良くすることでホルモンバランスが整い、また血の流れの力になります。

 不妊症の方の治療では活血消腫の漢方薬を基本に月経期、卵胞期、排卵期、黄体期と漢方薬を飲み分ける周期療法を組み合わせます。
・月経期には血流を良くしてスムーズに経血を排出し、生理痛を和らげる漢方薬になります。
・卵胞期には血流を良くする漢方薬に併せて、質のいい卵胞を育てる漢方薬になります。
・排卵期には気・血の流れを良くして、卵胞を外に出す力を助け、卵管内の流れを良くする漢方薬になります。
・黄体期には子宮内膜が着床しやすい、温かさ、厚み、柔らかさ、分泌液が十分にある内膜に整える漢方薬になります。このような内膜は受精卵にとって内膜にもぐりこんで安定できる、あたたかくふかふかのベッドになります。黄体期後期にはさらに子宮内膜を安定させるための漢方薬を併用します。

高プロラクチン血症と不妊症

 プロラクチンは脳下垂体から放出される乳汁の分泌のためのホルモンで授乳期に高くなります。正常値はおよそ15ng/ml以下になります。
授乳中でないのに乳汁が滲み出る方は検査をした方がいいです。

 授乳期でないのにプロラクチンの値が高くなると卵胞を育てるホルモンの働きが弱くなり、妊娠しにくくなります。月経不順、無排卵月経、無月経になることもあります。

 高プロラクチン血症の原因としては、薬剤性、脳下垂体の腫瘍、甲状腺機能低下症、流産・中絶などがあります。

 <薬剤性高プロラクチン血症>
 プロラクチンはドーパミンにより脳下垂体分泌を抑制されますが、精神安定剤、胃薬、降圧剤などでドーパミンの働きを抑える作用のある薬を服用することで血中プロラクチンが上昇します。服用している薬があり、妊娠しにくい方は、服用中の薬について担当の医師または薬剤師に相談して下さい。

<機能性高プロラクチン血症>
 高プロラクチン血症の方の多くは、器質性などの異常のない機能性のものになります。プロラクチンはストレスや過労、不規則な生活などにより高くなりますので、リラックスや規則正しい生活を心がけるようにするといいです。

 西洋薬ではテルロン、パーロデル、カバサールなどにプロラクチンを抑える働きがあります。

 漢方薬では炒り麦芽などがいいです。
 またストレス、不規則な生活では「肝」の働きが低下し、ホルモンバランスが乱れやすくなるので、「肝」の働きを高め、ホルモンバランスを整える漢方薬を併せます。

 もし第二子不妊でお悩みの方で授乳中でしたら卒乳をされるといいです。授乳中はプロラクチンが高くなるので、妊娠しにくくなります。
 卒乳はお子さんとの自然なペースがいいので、いつがいいということはありませんが、第二子不妊の方でなくても一人目ができにくかった方、二人目を早く欲しいと希望される方は一歳から一歳半くらいには卒乳をされるといいです。


漢方薬服用に際しては専門の医師または薬剤師にご相談下さい。