部屋長の 高水さん(仮名) と 坊さんの 光野さん(仮名) が
閉鎖病棟に戻されることになった



アルコール依存症 の人間は自助グループという組織に
参加し続けないと病気の再発予防ができないのだが
高水さん は この自助グループが大っ嫌いで
自助グループの定例会の時間になると
トイレに隠れたりして参加を拒否し続けていた

ならば 退院させるわけにはいかない
もう1度 最初から やり直し
とでも言うのだろうか
開放病棟にいさせてもらえなくなってしまった

光野さん は職員の目を盗んで 食べてはいけないものなど
夜中に食べたりするので(糖尿病だからこれは命取り!!)
食べ物を勝手に入手しにくい閉鎖病棟に転棟 ということだった



いきなり のことで ちょっとショックだった



が ショックだ なんて言ってる暇はなかった

次の部屋長に任命されてしまったのだ

責任者補佐に他薦された時と同じ逃げ口上で断ったのだが
他にできる人がいないから
という理由で これはもう断れなかった



なぜ退院できないのか
と くさっていたので これはいいタイミングかもしれない
他にできる人がいない
ということは
できる俺が できない方の お世話をさせていただく
ということとも とれないでもない

いっちょ 頑張るか



と 当時の日記に書かれている

部屋長をさせていただいたのは大変いい勉強になった

アルコール依存症患者(自分以外の)が
どういう思考回路をしているのか よく考える勉強になったし

俺が部屋長になって
あれだけ やかましかった601号室が 静かになったこと は不思議で面白いことだった

これが いい勉強になった

会計学 宗教学 アルコール依存症について など
書籍を読んだり ノートをとったりして
勉強のようなものをしていた 俺には
やかましいのがイヤでイヤでたまらなかったのだが
部屋長の俺が 静かになればいいなあ と思っただけなのに
口に出して言ったりしてないのに

部屋が 静かになったのだ

俺自身がまわりの環境にたいして
環境になる 影響力をもつ
黙っていても

とでも表現すればいいのだろうか
まあ 面白い体験だった


この頃から 日記の文字が きれいになって
文面も かちっとした ものになっている

部屋長させてもらって よかったなあ

と 今では思う ありがたい経験だった