ちょっと前の雑誌の中に「かじかんで動きが悪い指先を自動着火のない初代「ワーム」で温めて血行をよくして…」という記述を見つけてオヤッと思った。

 

 

数年前のことだが、

「カセットストーブが廃番になってしまって困ったよ」

ということを釣り場で聞いた。別に新たにリリースされる製品を買えば良いのでは? それとも愛着があるのかな? と聞くつもりもなく聞いていたのだが、

「もうカセットストーブが手に入らないんだってさ」

とも言っていた。そんなことがあるんかい、と釣り場ならではの与太話と思っていた。しかし、しばらくして、行きつけの釣具屋に行くとあれだけ並んでいたストーブが店頭から消えていて、ガセじゃないんだと軽く驚いた。

 

上の話は、ワームIIに買い替えてから数年たったくらいだったと思う。

 

 

それまで使っていた格安のカセットストーブは、使用時にカセットボンベが冷却されてガスが出なくなり、直ぐに火が消えるというトラブルが多発して辟易していた。しかも、陽が差して暖かくなってから使えるようになるというポンコツぶりで、何のために買ったんだ、とイライラさせられた (ダメ元で輻射熱の一部をボンベにフィードバックさせる機能を作ったが、全く効果がなかった。危険なので素人がやるべきではないと反省している)。ダム常連のFさんからワームIIを教えてもらって換えたのだが、それまで釣具屋で買っていたアウトドア用のボンベでなく安いボンベでも安定して動作するし (動作可能な外気温は-5℃以上らしい)、2つのボンベを並行して使えるので連続10時間と長く使えるのも良かった。だから、これは技術だ、文明だ、と大いに喜んだ。

 

ちなみに、外気温が低くてもワームIIが働く原理は下図のようなものらしい。

 


ボンベの爆発リスクを考えると素人では手が出せない構造であることが判る。

 

そんな訳で、製造元のユニフレームが販売を諦めるとは思えず、ワームIIが廃番になってもワームIIIが出るんでしょう、と楽観視していた。仮にリリースされなくても、こういう良い製品はサードパーティーから出るだろうとも思っていた。

 

この翌年の冬は、ストーブを使っている人が少ないように感じたが、数年経つと様々なタイプのストーブを目にする機会が増えた。それに、店先にストーブが並ぶようになった。

 

自分が持っているワームIIより良いものが出たのかなと調べると、やはり法改正(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)により廃番に追い込まれたこと、そして、「2020年6月1日以降は「PSLPGマーク」のない屋外式カートリッジガスストーブの販売は禁止」となったことが判った。

 

 

また、(一社)日本ガス石油機器工業会では「中古品の入手時の注意」と題して、中古品のリスクについて注意喚起していることも知った。ガス漏れ、特に液化(生)ガスが出ると危険なので購入に注意しなければならない。ごくたまに釣り場で大きな炎を出してアワアワしている人を見るが、横にしたり、振動を与えたりしたのだろうが、故障の可能性もあるだろう。

 


(ユニフレームのページから引用)

 

来シーズンに向けて購入を考えている方には、立ち消え・転倒時安全機能やカセットの圧力感知機能がついているPSLPG認証品をお勧めする。また、販売が禁止されているので中古品の販売は考えにくいが、オークションや知り合いなどを介しての購入は避けた方が賢明ではないかと思っている。

 

以上のように、規制前の製品は人には薦められないと考えているので、冒頭の記述にオヤッと思ったというわけになる。このリスクについて雑誌の方なら知らないはずはないと思うのだが…

 

いずれにせよ、規制前のストーブを使うのであれば周りに迷惑を掛けないよう十分に注意していただきたい。例えば、ストーブの周りに引火性・支燃性の高いモノを置かないとか (これは認証品でも同じ)。そして、万が一、引火しても、どういう風に対応するか、燃え広がったら、どうするかと充分にシミュレーションして、アワアワと慌てないように心掛けていただきたい。最後に、トラブルが発生して周りや釣り場に迷惑を掛けても自己責任ということを忘れずに。

 

それでは、また。