前日の予報は午後から曇りだったのに、朝起きたら1日中晴天となっている。
これだと強く日焼けしてしまうので、箕和田湖は考えにくい。ご無沙汰している道満で遊ぶのも面白いだろうと、軟調子の竿を奇数尺揃えて竿ケースに入れて、10時に出る。外環の側道の手前で思い直し、やっぱり鎌北湖に行こうと行先を変える。関越に入り、ものの20分程度で川越ICを出て、丸亀製麺へと向かうが駐車場には車がない。念のために駐車場に入ると開店は11時からとのことだ。そこまで待ってられない。松屋も悪くないが、来た道を戻るのは癪に障るので、国道に戻って先を急ぐ。
入間川を越えて、しばらくすると「すき屋」がある。以前、オーダーミスもあって30分待たされた上に、さらに10分は掛かると言われ、腹が立って食べずに出た店だ。その後、2回ほど行ったが、改善されたようだった。店に入ると注文待ちのお客様が4名ほどカウンターにいた。店員の声は小さく、こもっており、嫌な予感がする。騙されたつもりでオーダーすると15分経っても来ない。対面のお客様と目が合う。先に入っていた彼の注文も通っていないのだ。20分を越えたら席を立とうと決めると、ちょうど20分で注文したものが来た。店員はボソボソと小声で謝ったようだが、何を言っているか判らない。形だけの謝罪はいらないんだよ、と言いたいのをグッと堪える。ものの10分足らずで食事を終えて店を出る。全くもってゲンが悪い。
案の上、意思疎通が取れず判断力のないノロノロと進む車の後を走ることになり、到着したのは12時前になっていた。カーブミラー下、第一ワンドは入れないことは無いが、御免なさいよ、と割り込む気にはなれない。あの水面に映りこんだ木々の緑に自分の浮きをポツンと浮かべたいのだ。第二ワンド西岸の桟橋は一人入っていたが、釣りを止めるところだった。話をすると、竿は12尺で、底掛かりがするので、チョイ底を切ったタナで釣っていた、そして、一枚スレバラシをした後は何も触らなくなってしまった、ということだ。とても丁寧に教えてもらい、心より深くお礼する。
折角なので、仇を打つぞ、と同じところに入る。帰り際、「夕方になると回ってくるかもしれないので、頑張ってください」と声を掛けてくれる。こういう人と話しをすると気持ちが良い。先ほどまでの不機嫌は影を潜め、テンション高く準備を始める。
竿はお気に入りの孤舟13尺。大型も取れる純正鶺鴒(表記は硬式鶺鴒だが)で、沖っ走りするときの浅ダナに向いている。
道糸は東レ将燐へらTYPE IIの0.8号、ハリスは将燐へらフロロで上が0.5号で12cm、下が0.4号で50cm。鈎は上が角マルチ5号、下が3号。ウキは少し悩んだ後に忠相のTour Spec F 7番を使う。
バラケはグルバラ60cc、セットアップ120cc、水120cc、セット専用バラケ60cc。クワセはグルテンα21 60cc、水70cc。
タナを2本にセットして、第一投目は12時45分。
準備している間に、対岸の人達は会話から全く出ていないことが判る。彼らの奥の岬に居る人も竿を絞っていないので、このワンドにヘラはお留守のようだ。少し大きめのバラケを入れながら、久し振りの浅ダナセットを楽しむ。2月に武蔵の池で山村さんの隣りで釣ったが、そのときの彼の振込みの上手さに舌を巻き、機会があれば練習しようと思っていたのだ。右から風が吹いていることもあって、中々思うように落とし込みが決まらないが、少しずつエサ打ちがまとまってくる。
20分ほど打つと弱い動きが出てきて、たまに一節、それどころか弱く消し込んだりしてドキドキする。40分経過したころ、軽い手応えと共に上がってきたのは一見ワカサギに見えるタモロコだった。これも釣れないならばヘラは可能性ゼロなので気合いが入るが、2ボール目に突入し、それも半分無くなると移動という文字がちらついてくる。
15時になると対面の人達は消え、奥の岬に一人いるだけになった。期待通り独りポツンとという状況になったが、釣れないのは期待していない。
「2ボール目のバラケが無くなったら帰宅かぁ。完全試合ではないが完封だな」と思っていると急にウキが深くナジむようになった。これは期待できそうだ、と3ボール目のバラケを作る。2ボール目からグルバラをGDに変えていたのだが、それが効いたとは思えない。
小さめのバラケで狙ったがウキの動きが無くなったので、少し大きめのバラケを5投ほど入れて、再度、小さめのバラケを入れると3節なじんで水面に3目盛り残ってジッと堪えているとツンと2節入った。合わせると道糸が右に走り、ワンテンポ遅れて軽い重量感が伝わる。思わず「来た」っと声が出てしまう。
さほど抵抗することなく上がってきたのは色黒のくたびれた8寸クラスのヘラだ。いつもならガッカリするのだが、今日は嬉しい。キレイに撮りたいと距離を変えて数枚写真を撮る。本当に嬉しい。
ひょっとして群れで来たのではと期待するが、またウキの動きは静かになってしまった。
1匹は偶然、2匹は必然。
そのようなことを思いながら、淡々とエサ打ちを続ける。15分ほど打つと弱い動きが復活する。そして、ナジミが遅くなったりするが、その後が動かない。ヘラなら今のは食うタイミングだよ、とバラケを抑えたり、小さくしたり変化をもたらすが、決め手に欠ける。
そういえば、さっきのヘラは黒かったよな、とウキ下を50cmほど浅くする。ウキはすんなりとナジみ、トップ1節が残り、そこからジワッと一節戻すとカチッと入った。小さく合わせると竿に重量感が伝わり、グングンと引っ張られる。さほど重量感はないが突進力がある。幾度か突っ込まれて、持ち上げてを繰り返すと観念したようで、水面を割って上がってくる。
型はやはり8寸程度だが、シッポがキレイな銀色のヘラだ。これで満足だが、群れが来ているか気になったのでエサ打ちを続ける。5投ほど打ったところで毛呂山町のチャイムが鳴る。「皆帰ろう」というので、今日はこの辺にしてやらぁ、と納竿にした。
こういう回遊待ちの釣りは久々だったがドキドキして楽しい。
ヘラが居るところでは釣れないとイライラするが、居ないかもと思われるところでの一枚の価値は高く、たった1枚釣りあげることで喜びは最高潮に達する。まさか、鎌北湖でこんな思いをすると思っていなかった。なお、第一ワンドはヘラが居たようでそれなりに釣れており、石段下まで行くと型はさらに小さいが相当釣れるそうだ。今日は第二ワンドから桜並木、そして流れ込みまでひどかったようだが、これから徐々に良くなっていくのではないか。軟調子の竿をもって出掛けよう。
それでは、また。