自分が持っている京楽は70年代の志野・誠のような穂先が細くて、穂持ちが良く曲がるタイプ(便宜上、中式胴調子と呼ぶ)と、瑞穂のように穂持ちが太くて、胴が良く働くことで竿に掛かる負荷を全体に分散するタイプ(便宜上、硬式胴調子と呼ぶ)のどちらかが多い。しかし、興味本位で購入した流扇 誠心 15.3尺は軟式胴調子といえるもので、志野 15.2尺誠 15.0尺と比べるとパワーに欠けるもので今の釣り場だと使う場所が限られる。他の尺だと路 17尺路 誠心 17.1尺の調子も軟らかく、ヘラのリフト力が弱いため、竿のさばきがかなり難しく、やはり使うところが限定される。

 

今回紹介する竿は上で説明した3つのタイプのどれにも属さないが、強いて言うならば、振り調子は軟式胴調子だが、その特性は上で説明した中式胴調子と軟式胴調子の間に属する。

 


穂先は志野のように細く、元竿まで細い。竿を継いだときの印象は軟式胴調子だけど大丈夫かなというものだが、何枚か釣ってみると軽く驚く。先に挙げた軟式胴調子はヘラの顔が水面に出てから手前に引っ張るところでヘラの重量に竿が負けて潜られることが少ない。この竿の強さとしては8~9寸クラスを想定しており、ヘラの強い引きを耐えているときは確かに竿が負けているなと感じることも多い。だから、手こずるだろうなと予想するのだが意外とすんなり取り込める。別に、意識してソフトに合わせているわけではないのだ。 

 

他の軟調子との違いは総高野竹という点だ。

高野竹だから、このような釣り味になるかは竿師でない自分には分からないが、9寸クラスとジックリと遊ぶように設計されていることぐらいはわかる。そして、自分が所有する総高野竿と比べると似ているのだが、ヘラの取り込み易さが異なる。軟式胴調子を追求したいという京楽だけあるなぁとつくづく感心する。

 

さすがに例会でガンガン使うような竿ではなく、今日はサイズが期待できないときには手に取る竿の1つだ。冬場の武蔵の池なんかだと面白いかもしれないが、段底ばかりなので出番がない。一度、この竿を使って尺クラスばかり引っ張ってみたいとは思っている (腕前を上げるのが先か…)。

それでは、また