前回、日本の釣り場について考えると書いたのだが、まだ、知らなければならない基礎知識がある。

 

7~9月までは中層(11m)の酸素量がほとんどなく、水温のグラフと比較すると水温躍層より深いと酸素量が減ること判る。水生生物の生息を困難にさせる、いわば「死の水」といってよいだろう。

 

さて、この底層溶存酸素量が低下する主な原因として次のことが考えられている(1)

  • 湖沼中・底泥中の有機物を微生物が分解する際に酸素を消費すること
  • 底層の水が、酸素を多く含んだ表層の水と混合しなくなること

 

まず、有機物を分解する際に酸素が消費されるのだが、その有機物の由来は、河川等からの流入、植物プランクトンの過剰な増殖、既に湖底にヘドロなどの有機物が蓄積、と考えられている。次に、表層底層の混合だが、ターンオーバーが生じたり、風や河川による流入などによる対流が起こることで底層溶存酸素量が低くならずに済む、という単純明快な話になる。

 

さて、我々、釣り人は水質向上のために釣りをしているわけではないので、上の説明を聞いても盛り上がらない。だから、釣れるためにはどうすれば良いのか、と聞きたくなってしまう。

 

例えば、昔の浮間公園は池の透明度は高く、カナダ藻だったか水藻がギッシリと生えていて、狭く深い藻穴を探すことが好釣果に結びついており、今でも透明度が高い池や湖で藻を見ると釣れそうと思ってしまう。一方で、新潟のため池に多かったのだが、水面がヒシ藻で多い尽くされている水が緑色の池を見ると苦戦しそうだなと思ってしまう。水生植物は光合成により酸素を供給するが、過剰な繁殖により水の流れを妨げ、表面層と低層とが混ざり難くなったり、植物の枯死体が底に沈殿して酸素を消費する有機物となることなどがある。家庭の水槽や鑑賞池と異なり、自然に枯れた藻が無くならないということも問題となる。つまり、底層溶存酸素量を低下させる2つの要因を満たしてしまうのだ。当然、こういう状態の池だと、底を諦めるしかない。

 

また、ヘラ釣りだと水の流れを嫌うのだが、釣れないときに水通しの良い岬周りが良かったりするのは、バラケが広範囲にわたって拡散してヘラを呼びこむこともあるのだろうが、対流が起きることで居心地の良い環境になっている可能性がある。透明度が高いところだと深いタナが良いことがあるが、こういう場所だと、より体力のあるヘラが深いタナに入るため、長竿チョーチンを楽しめる可能性がある。

 

以上のように、パッと見たときの雰囲気や表水温に騙されずに、水の色にも注意しなくてはならない、ということになる。

 

う~ん、いつになったら、実際の池の話になるのか判らないが、次こそは考えてみたい。

 

それでは、また。

 

【引用文献】

1. 環境省、「湖沼の底層溶存酸素量及び沿岸透明度に関する水質保全対策の手引き」 (2020).