東大寺には大きなお堂から小さなお堂まで数多くありますが、素晴らしさはサイズや知名度とあまり相関しません。そこで全国に多数いるはずの「東大寺は拝観スポットが多過ぎてどこから行ったらええか分からん」勢のみなさまに、オススメ順を書いてみたいと思います。

 

東大寺二月堂☆☆

別記事にて詳しくご紹介。お堂から展望が良く、また北西に伸びた坂道の風情が最高に美しい、僕のお気に入りです。たぶん奈良でいちばん有名なお祭り「お水取り」(3/12夜)の舞台となります。

 

東大寺俊乗堂☆☆

毎年7/512/16のみ公開されます。快慶による美しい阿弥陀立像もあるのですが、それよりも見るべきは慶派仏師による重源上人像(国宝)でしょう! 肖像彫刻でこれほどのものがあるでしょうか。大傑作。痩せ衰えた身体に比して手は武骨でがっしりしています。働いている人の手ですね。対比がとても印象的です。快慶作とされますが、僕には運慶あるいはその息子康慶っぽい作風に見えます(六波羅蜜寺の運慶像とかに似ている)。

 

東大寺三月堂(法華堂)☆☆

普段から公開されており、国宝仏像がずらりと並んでいるわりに空いていることが多いのですが、執金剛神像(国宝)が開扉される12/16だけは長蛇の列ができます。長らく完全秘仏だったこともあり、奈良時代の像なのに一部に色が鮮やかに残っています。歯茎の赤さと左腕の血管をぜひ見ていただきたいです。

 

東大寺ミュージアム☆☆

ここは常設展がハイレベルです。塑像の日光菩薩・月光菩薩(国宝)はよく見ると衣装や顔立ちが少し違います。

他には国宝の太刀や伎楽面などが面白いです。(興福寺国宝館における阿修羅像のような)大エースはいませんけど、エースクラスはごろごろいる超強豪校って感じの素敵な宝物館です。

 

南大門☆☆

門も仁王像も国宝。無料で見られる国宝仏像として知られています(笑) ただ残念ながら、仁王像は鳩除けの金網のせいで見にくいです。門は大仏様(だいぶつよう)という、要するに復興時のローコストな造りで、それだけにごつごつした組木がしっかり見えて面白いです。

 

東大寺戒壇院

戒壇院では戒壇堂が公開されています。いつも思うんですが、ここの広目天は芸人の宮迫さんに見えてしまいます。そう思う人は僕以外にもけっこういるみたい(笑)

なお戒壇院には千手堂というお堂もあります(現在は非公開)。たいへん美しい千手観音と四天王(重文)が安置されています。

 

東大寺大仏殿

ならのだいぶつ。像も建物もただただデカいです。みんな行きますね。


東大寺勧進所

10/5のみ公開されます。お堂が3つありまして、まず拝観すべきは公慶堂。江戸時代に東大寺復興のために尽力した上人の坐像があります。左目が充血している感じがなかなかの迫力です。次は八幡堂。快慶による美しすぎる僧形神像が間近に拝めます。最後は阿弥陀堂。長期間考え続けたので髪伸び放題のアフロ仏がいらっしゃいます。

 

東大寺四月堂(三昧堂)

三月堂の向かいにある小さなお堂。堂守りさんが中にいらっしゃればいつもで無料で拝観できます。重要文化財指定の十一面観音像あり。

 

東大寺開山堂

毎年12/6のみ公開されます。良弁僧正像(国宝)。お厨子の中に描かれた散華が可愛い。

 

東大寺念仏堂

お堂隣にあります寺務所にひとがいらっしゃれば、お願いして拝観可能。無料。珍しい丈六の地蔵仏。足の指が太くがっしりしていて、民衆救済のために歩き回ってくださっている感じ。

 

他にもお堂などはありますが、これだけ挙げればまぁもう十分でしょう!