昨年10月、神護寺を訪ねました。毎年秋に公開される五大虚空蔵菩薩像の拝観が目的です。

神護寺には仏像彫刻が2件国宝に指定されており、1件(薬師如来立像)は常時拝観できますが、もう1件(五大虚空蔵菩薩像)は5月と10月に各3日、計年間6日しか公開されません。

 

まずは常時公開の仏像からご紹介。

ここの薬師如来立像はものすごく怖いお姿をしています。しかしそれも当然で、平安時代中期あるいはそれ以前の薬師如来像というのは、宮澤やすみさんの表現では「呪いのための装置」です。病魔を降伏し、さらには病魔を呼び寄せた政敵を呪殺することまで司るわけですから、おっとりした顔なんてしていられません。そういう時代もあったのです。

上半身と下半身の正中線がズレており、見ていてこちらの心をちょっと不安にします。霊木から削り出したためズレたのではないかという説もあるようです。京都でもっとも霊威が感じられる仏像だともっぱらの評判です。

 

お顔のアップ。

 

一方、毎年5月3~5日10月7~9日しか公開されない五大虚空蔵菩薩(国宝)は空海が唐より持ち帰った密教図像を元にしたと言われるお像です。上の薬師如来立像と同じ平安時代初期の作ですが、怖いどころかむしろ官能的なお顔です。

ゴレンジャーみたいに5人横並びになっていて、色が少しずつ違っているのが面白いです。

 
 
なお、僕らは神護寺を辞したあと、清滝(愛宕山登山口)を経由して嵐山までのハイキングコースを歩きました。嵐山までで2時間くらいだったかな?
 
あまり整備されておらず、途中でちょっと怖いところもあるので、ハイキング慣れした人ではないとオススメできません。でも慣れた人なら楽しく歩けます。
 
最後は嵯峨鳥居本の町並みを通り抜けていきます。すごくいい雰囲気ですよ!
 
※追記
2024年ゴールデンウィークに神護寺に行きました。5年ぶりに虫払い5/1~5)が開催されたためです。寺宝の絵(国宝がいくつもあります)が所狭しと並べられていました。必見は何と言っても国宝の伝頼朝像。腰の前に垂れている平緒に描かれた金色の鳳凰模様や唐草っぽい紋様が、ため息が出るほど美しかったです! 
拡大写真はこんな感じ。この繊細なライン、見えるかなぁ。
 
他にはこの釈迦如来坐像(平安時代後期)も良かったなぁ。赤い衣に金の截金が良く映えていていました。
 
寺宝をたっぷり1時間ほど拝見させていただいたあと、隣接した了々軒というお茶室で呈茶(800円)をいただきました。偶然にもご住職さまや有名な陶芸作家さまたちと相席になり、みなさまお茶席に慣れた方で焦りましたが、ホントに楽しいひとときを過ごさせていただきました。拝見したお茶道具も素敵なものばかりでした。(太陽や月、星があしらわれた棗、イルカの蓋置き、淡い彩色の蝶がたくさん描かれた茶碗など)
 
 
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