興福寺北円堂が公開されます。春と秋に毎年公開してくれるのですが、僕は去年4月に訪ねました。

 

個人的には、ここの無著・世親像は世界に誇るべき日本の大傑作彫刻だと思っています。

じつは僕、昨春この像を見るまで仏像にそこまで関心はなかった(庭派だった)のですが、この像を見て衝撃を受けました。

実際の人間よりも人間らしい像っていうのがありうるんやなって。

単なる木の削り出しに、精神性を感じることってあるんやなって。

それからは仏像も見に行くようになりました。

 

無著・世親像の眼は水晶を入れたいわゆる玉眼で、光が当たると濡れたように光ります。

かつてフランスの美術館で展示されたときに「彼は私達のために泣いてくれている」と評された、とかつてどこかで読んだ記憶があります。

暗い北円堂のなかにじっと佇む兄弟像の姿を眺めるのは、あんまりすごすぎて、なんだかもう叫びだしたくなるような体験でした。

 

※NHK「国宝へようこそ」

 

※写真家のHP

 

ついでに(笑)、北円堂の御本尊は運慶作だと言われています。

運慶らしい、目が中央に寄ったお顔の弥勒仏で、こちらも国宝です。

 

さらに、北円堂自体も国宝です。

興福寺で最も古い建物で、日本で最も美しい円堂だと評価されています。すぐ近くの南円堂と見比べると一目瞭然、北円堂のバランスの良さは傑出しています。

 

まぁだいたいそんな感じで、北円堂は小さいですが見どころがぎゅっと詰まっていて、僕の大好きなお堂です。

機会がありましたら是非ぜひどうぞ。

なお2023年春の公開期間は4月22日~5月7日です。