中学生の時、塾が終わっての帰りは本当に楽しかった。
あの頃、同じ塾に通っていた奴はみんなそうだと思う。
あんな風に屈託無く笑えることは二度とないだろう。


田舎の夜は暗く、そして深い。
そんな中で都会を感じさせる出来たてのローソンに
俺たちは帰る方向が全く逆にもかかわらず
いつも立ち寄っていた。

今のガキのように金がある訳ではない。
100円のジュースを買うのにも事欠くような貧乏中学生。

それでも立ち読みしたり商品を見たり
お金がなくても十分楽しめる空間だった。
店の人にとっては迷惑この上ない存在だと思う。
でもその後、サコッペと俺とタカタンで
「バンプ」を買って売上貢献したし。
許して下さい。


ある日、俺たちが店内をウロウロしていたら
「イテッ!」という声が聞こえた。

最初は気に止めていなかったが
その後も
「イテッ!」
「イテッ!」

と何秒かおきに甲高い声で「イテッ」が聞こえる。

店内を見渡してみるが
特にトラブルは発生しておらず
まばらにお客がいるだけ・・・。

不思議に思いながらも店内を探索する。


そこにオッサンがいた。

マジマジと商品を見ながら「イテッ!」と奇声を発していた。
すました顔をして。

「イテッ!」と言った後も
何事もなかったように店内をウロウロしていた。

しゃっくりなのか知らないが
その後も延々と「イテッ」の声は店内に響き続けた。

じっくり観察した後、
ゆっくりと店の外に歩いた。

あんなおかしい奴、見たことない。
俺たちは世の中の不思議をまた知った。


二度と戻らぬ少年時代。
「イテおじさん」は少しおかしい人だったのだろう。
本当にいいキャラだった。
その後、数年はあいつの話題で盛り上がれたもんな。



でもな・・・今だから言うわ。
俺的には「イテッ」という奇声を発するおっさんよりも
彼を奇妙に思うとかそんなんじゃなく
腹を抱えて大笑いしていたサコッペ。

その狂ったような笑い方が若干心配だったよ。



焼肉をほお張る我が親友、サコッペよ。
千葉に行っても頑張れよフ。レーヾ(゚▽゚ゞ)( シ゚▽゚)尸"" フレー