『この前、オーラを診てもらいに行って来たんスよ。』


「はっ???」


お宮と神戸娘の話によると
仕事場の近くにある最近出来たバー
そこのマスターはオーラが見えるらしい。


何を隠そう俺はそういう話が大好きだ。


どこの街にも「拝み屋さん」というか
霊感で持って色々な人の相談にのってくれる
霊能力者みたいな人がいる。


俺が懇意にしてもらっている阿波の黒豹クンも
信仰している霊感のある御婆さんには
随分と世話になっているそうだ。


徳島に行った際には
是非、案内してもらいたい。





「俺もその店、連れて行ってくれや。」


「分かりました!」


という訳で岡山の某所にひっそりと佇む
オシャレなバーに俺、お宮、神戸娘、天然娘で行くこととなった。


お店は間接照明でジャズがBGMで流れ
「大人の隠れ家」的な、いい感じだ。

一緒にいるメンバーを
ボーリングのピンみたいに
全員入れ替えたい衝動にかられる。


「あっ!あの人か?」


カウンターで客と談笑する30代中盤くらいの
短髪のお兄さん。
客あしらいも上手そうだ。


「・・・じゃぁ早速・・・俺のオーラ・・・」


「待って!
マスターってオーラが見える話は
あまり口外して欲しくないらしいねん。
そういうお客さん(オーラだけ見て欲しい)が増えても困るから、って。
さりげなく聞いてみるわ。」


その店にお宮と週に2~3回は通うと言う
神戸娘に制された。


神戸娘とお宮の話を聞いてみると

神戸娘は頭の上にまっすぐオーラが来ていて
そのオーラを受け入れているそうな。

直感でどっちにしよう?という場合は
選んだ方が常にいい方向に行くらしい。


そう言えば彼女と一緒に仕事をしていても
「こういう風にしよう」という提案はかなりの確率で
上手くいっている印象だ。


そしてお宮と言えば
紫色のオーラが出ているものの
頭でそれを受け入れていないらしい。


そう言えば、こいつは最近ミスばかりで
チマチマ同様、顰蹙を買うこと多々ある。


『オーラ写真』とかは全く信じていない俺だが
神戸娘とお宮に対する診断は興味深かった。

だからこそ疲れ果てた仕事終わりにも関わらず
わざわざ足を運んでいる訳で・・・。


「まぁ、ええわ。でも早めに診てもらうようにお願いしてね。」


「わかりました。」


意外にも料理も美味く
みんなでチマチマの悪口を言っているうちに
アッという間に時間が過ぎる。


「まだ?俺そろそろ新幹線の時間なんだけど・・・」


ジリジリしてきたその時に
マスターがお水のお代わりを持ってきた!



「あ~~~、マスタ~~~~。
オーラ診て下さいよ~~~~~~。」


すかさず神戸娘が声をかける。



済んだ瞳のマスターが
ニヤッとして4人を見る。


「う~~~ん。彼(お宮)は紫のオーラですね。
でも頭で蓋をしてるのでオーラを受けていないねぇ・・・。


彼女(神戸娘)はオーラを受けてますよ~~~。
でも下から上がってくるオーラが弱いですね。

※オーラは頭に降りてくるもの(精神的なモノ)と
 下から上がってくるもの(肉体的なモノ)という種類があるそうな


彼(オイラ)は赤いオーラが出ていますね~~。
ピンクも交じっているかな?
赤は珍しいですね。そんなにいないですよ。」



「赤って良いんですか?」
神戸娘、ナイス!


「赤?いいですよ。エネルギーが強いんです。
仕事と恋愛、どちらかに集中すればいいです。」



へ~~~~~~~。


「じゃぁ、この人は???」
神戸娘が天然娘を指差す。



「その方はまた後で!」


ニッコリ微笑むと踵を返して
マスターは厨房に消えた。


「赤色のオーラ」

「珍しい」

実に興味深いコメントを貰い
その続きを根掘り葉掘り聞きたかったが
残念ながら終電の時間だ。


俺は未練を残したまま帰路についた。


そして次の日、さらに衝撃的な話を聞くことになる。



つづく・・・。