割れた池の氷と笑い顔のサコッペ。







大晦日までの仕事を半分覚悟していた俺。
思いがけず、時間が出来たので
ツウとサコッペと俺のゴールデントリオで会った。




バカ話をしながら高校の時に足繁く通っていた
同級生「なっち」の親が経営する定食屋でメシを食う。
サコッペはこのブログを読んでくれているが
ツウは何回言っても「インターネット繋いでない。」と言っては
全く見てくれていない。



メシを食い終わり
「これからどこ行く?」の俺の質問に
「七つ池。」と即答のツウ。


自然に触れるのはいいことだし
(・・・と言うか・・・自然以外とにかく何もない街なので)
久しぶりに地元を探る旅も悪くない、と全員賛成した。



愛車を飛ばし、山の中をウネウネ登り
遠足では定番の大蛇伝説のある「七つ池」に到着。



さすが田舎だけあって
路肩には雪も残り、
それを見て妙にテンションが上がる3人の三十路男達。




「おい!池に氷が張っとるど!」

「マジか!?」


池の表面に石を投げて割ることに熱中の33歳男達。



      「高く投げるのがコツじゃぁぁぁぁ~~~」




しかし、思いがけず氷は厚く
デカイ石を落としても小さい穴は開くが
全部、表面の氷にはじき返され
「ドッボーーーーーーーンッ」というような威勢のいい割れ方がないことに
苛立ちを感じ始める3人。



「割れんのぉーーーーー。」

「この石でいってみようか?」



俺以外の2人には妻子がいる。
分別のある大人だ。
それが年の暮れの差し迫った大晦日に
夢中になって池の氷を割ることを相談する。
実に素敵だ。



「もしかしたら・・・この氷の上に立てるんじゃないんか?」


「えーー、無理じゃろう~~~。」


「見てみぃ!結構厚みがあるで!ほら!」


「ホンマじゃのう・・・」


話題はいつしか、「池の氷を割る」ことから
「池の氷の上に立つ」ことにシフトしていた。
暮れの差し迫った大晦日の午後。











「おい!見てみぃ!」


「あっ!?」
「おっ!?マジか!!!!!!」


「はよッ、写真を撮れ!」




     氷の張った池の上に立つ勇気ある人(撮影:サコッペ)


サコッペ、ツウのヘタレコンビが
氷の厚さから考察して
「一人の男性が氷上に立つことが可能かどうか」
意見を交わしているのを尻目に
勇気ある俺は、すでに行動で証明していた。



「おら!すげぇじゃろうが~~~」



「いしべ、ヤバイって!!!そっち(池の真ん中)に行くな!」
「帰って来いって!!!」


ビビリの二人からの呼びかけに
意気揚々と岸辺に戻ろうと
足を2,3歩踏み出したその瞬間・・・



ピキピキ・・・と言う不気味な音と共に
右足の氷がまず割れ

「うわーーーーーー。」という叫び声と同時に左足の氷も割れ


俺は池に落ちた・・・。意外に深くて胸まで浸かった。



さこっぺに手を借りて息も絶え絶えに池から脱出する。
(一番最初の写真は池から脱出して土手を登ってる最中に撮影)




2005年大晦日・・・来年34歳になろうかという
勤めている会社ではマネージャーと呼ばれる要職についている俺は
寒空の中、氷の張った池に落ちた。


33歳にもなって池に落ちた・・・

12月の氷の張った池に・・・




「それにしても、池から上がった直後のいしべのコメントが凄かったわ」


「ん?」



『伝説作ったど!』じゃもんのぉ~~~。
すげぇ~わ。ホンマ・・・」




びしょ濡れになったズボンを脱ぎ
パンツ一丁の格好で助手席に座る。

身体の芯から冷え切った俺の心と身体に
サコッペのコメントは暖かい灯をともしてくれた。



2006年も宜しくお願いします。