Sという友人がいる。

Sとは俺がまだ童貞だった頃、
いやそれよりもずっと以前からの親友の一人だ。
俺に遅れること6年後に童貞喪失をしたS。

今や3児の父親であり、
朝の5時から夫婦の営みに燃える元旦生まれの32歳だ。


小学校、中学校と共に同じ学び舎で学んだ仲だが
不思議と同じクラスになったことが無い。


それが今でも親しくしているのは本当に不思議だし
何かの悪い因縁ではないかと、正直恐怖を感じたことも実はある。

今回の故郷訪問も
何かに魅せられたようにSとの思い出を探る旅になってしまった。





  Sと出会った学習塾

中学生のころ
ここで共通の友達タカタンに引き合わされてSと出会った。

誰かが小便をしているのを脅かそうと
外からトイレの窓に「ホニャッ」と叫んで手を出して逃げたら
「誰だぁぁぁ」と激怒した先生が仁王立ちをしていた。
Sはビビッていた。







 Sがせっせとパンを盗んでいたパン工場

30円パンの店。
余った商品を涙ぐましい営業努力で叩き売りしていたパン工場、
Sに見つかったのが運のツキ。


Sを中心とした少年窃盗団に狙われ、
商品を盗みまくられていた悲劇の工場。


20年経ってもこの状態。






  Sが愛した駅前のMビル

Sがまだ中学生の当時、町で一番高い建築物として
羨望の的だったマンション。


連日連夜、若い女性に狙いを定め
ピンポンダッシュを繰り返し
郵便受けの隙間から中を覗き
表札の名前を絶叫しながら逃げていた
Sとその仲間達。


現在それらの行為は「ストーカー」と呼ばれている。






  Sの思い出のエレベーター

そうした悪質な行為の最中、尿意をもよおしたSは
あろうことかこのエレベーターの右奥にて
立小便をした。






 Sの実家

扉を入ると、履きふるした靴が散乱するワイルドな土間。

右手には水槽があり本人曰く
「夜店の金魚すくいでとった」とは
とうてい信じられない、あたかも遺伝子操作されたような
異常にデカイ金魚がフニャフニャ泳いでいた。

そしてこの二階から愛犬ジョンを下に落として
楽しんでいたサディスティックなS。








・・・でも3人目が待望の女の子で良かったね。
サコッペ