俺の通っていた大学は高台の上にあった。
住んでいたのはキャンパスのすぐ横にある学生寮
家賃は17,000円。風呂は100円入れたら10分だけシャワーが出るタイプ。
トイレは和式の共同だ。
そこで4年間、先輩や後輩と一緒に共同生活していた。
木造2階建ての玄関先には汚い靴が雑に並び
すえたような匂いが立ち込めたボロ下宿。
雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ
雪ニモ 夏ノ暑サニモ・・・負けないどころか
あの阪神大震災にも打ち勝った我が「木下寮」
社会人になった今でも
「単位が足りずに大学を卒業できない夢」でうなされる俺だが
舞台はいつも木下寮のあの部屋だ。
大学生活の思い出がたっぷり詰まったボロ下宿。
俺の大学生活のすべてはその場所に確かにあったのだ。
・・・でも最後に言わせてくれ!
大学4年生の秋、シャワーを浴びようと
すっ裸で勢いよくドアを開けたら
シャワー室の真中に堂々と鎮座していた
あのウンコッッ!!!
一体誰の仕業だい?
木下寮の思い出=シャワー室のウンコ
俺の思い出を返してくれよ!!!
でっ・・・今日のブログ。大学2年生の冬、
まだバイクも買ってなくてチャリで寮から当時付き合っていた彼女の
アパートを往復していた頃、不可解な出来事があった。
深夜1時ごろ彼女のアパートから
下宿に帰るべくチャリンコを走らせていた俺。
大学は高台にあるのに加え上り坂は強烈に勾配がきつく
毎回「ぜったいに原付を買おう!」と思いながらの帰り道。
深夜1時とはいえ、住宅街を通るのでボンヤリとした明かりはあり
さほど恐いと思ったことはない、いつもの道。
(ついでに言うなら笑福亭鶴瓶が打ちっぱなしに来るという噂があった
ゴルフ練習場の脇を通る道。)
しいて言えば坂を登りきってしばらく行くと一ヶ所だけ霊園があり
ブロック塀で囲まれているものの、そこだけは明かりがなく
お墓&不気味な闇が広がっていたことだろうか。
「・・・・・・・!?」
急な坂を昇りきり、前方に視界が開けたその時
遠くに妙なものを発見した。
俺が唯一、ややスピードを速めて通り過ぎる霊園の前に
一人のおっさんが前かがみで立っていた。
霊園の壁に向かって直角に身体を折り曲げて。
でも、人がいるというのはやや心強い。
チャリをこぐ足にも元気がでる。
しかし何か妙なのだ。
身体をくの字に折り曲げたスーツ姿のおっさん、
どんどん近づいているのだが、まったく微動だにしないのだ。
遠目に見た時は、酒を飲みすぎて吐いているように見えたのだが
そういう訳でもなく
ずっと、『くの字』に身体を折り曲げたまま動かない。
まるで人形のように。
こちらの存在が分かるくらい近づいても
スーツを着たそのおっさんは霊園の方にお辞儀をした姿勢で
ピクリとも動かないのだ。
深夜1時過ぎ、薄暗い道、こともあろうに霊園に向かって
お辞儀をした姿勢で動かないオヤジ。顔は下を向いたまま、よく見えない。
・・・とても声をかける勇気はなかった。
そのオヤジを見ないようにして傍らを急いで通り過ぎ
しばらく行った先で振り返って見る。
まったくポーズが変わっていない。
相変わらず「くの字」のまま。
視界に入るギリギリのところでもう一度振り返ってみる。
まだいた。動く気配もない。
今から思えばあんな薄暗い中でおっさんの姿だけは、
なぜかハッキリと見えた。(ような気がする)
家に着くと電話が鳴った。深夜の電話にビビリながら出る。
同級生のT本が『バイク事故で亡くなった』という電話だった。
何か嫌じゃないですか?こーゆーの。
