Aqoursはμ'sと違ってキャラよりも中の人を推している、なんて論調を度々見かけることがある。
キャラを蔑ろにしているとは全く思えないが、キャストの露出が多くなっていることは間違いないだろう。
μ’sの場合は方向性が固まっていなかった1stライブで練習風景を見せたことがあったが、その後舞台裏をはっきりと公開したのはファイナル付近だけであったし、ラジオやニコ生などのラフな現場では裏側を語ることもあったものの、ステージ上ではあくまでキャラや作品世界を表現するものであるという拘りを感じるものだった。
しかしAqoursの場合、初期からμ’sとの違いを見せていたように思える。
みなさん覚えているだろうか、初期にAqoursキャストが沼津に行ってきたことを公式が写真付きで報告していたことを。
あれは別にイベントがあったわけでもなく、これからAqoursを演じていく上で、キャラたちが育った場所の空気を感じて芝居に役立てていこうというものである。
普通そんなロケハンについて行きましたみたいなことなんてわざわざ公式で報告するようなことではないように思えるが、それをあえてやったことに当時何か特別な意図があるんじゃないかと思った。
そしてメルパルクホールで行われた記念すべき初のトーク&ミニライブイベント。
私は運良く当選し参加できたのだが、あれがとにかく衝撃的だった。
出てきた瞬間いきなり泣き出すリーダー伊波杏樹。
仲間と寝食を共にし、すっぴんかつ飾り気のない練習着で切磋琢磨する合宿の映像。
そこからの初ライブ。
まだ始まってまもなく、サンシャインがどういうものなのか掴めていない段階であれを見せられた私は
「これ、まさにラブライブ!じゃん。サンシャイン、もう始まってるじゃん」
と思ったのである。
まだアニメは始まっていなかったし、具体的なストーリーがないにも関わらず、バリバリに物語を感じてしまった。
それはキャラクターとは別の、キャストのAqoursの物語だった。
そうか、サンシャインはこっちも見せていくんだとあの時理解したのだ。
もちろんμ’sがやってきたことは間違いではないし、どっちが正しいという話ではないが、キャラクターとのシンクロというμ’sが積み上げてきたものも当然大事にしつつ、μ’sがやらなかったことにもチャレンジしていくという気概に私は心惹かれた。
そして1stライブ。
あれはアニメ1期の物語に沿ったライブで、その一環として作中でピアノを弾いた梨子に合わせて逢田さんがピアノにチャレンジした。
しかし、元々ピアノをずっとやってきた梨子とは違い、逢田さんはピアノ未経験からのスタート。
本番当日、逢田さんの手は震えていて、表情は強張っていた。
とてもじゃないが梨子とシンクロしているようには見えなかった。あれは逢田梨香子でしかなかった。
そして2日目、まさかの失敗で演奏を止めてしまう。
決定的にアニメとは違うストーリーに分岐した。
そこからの奇跡の復活、アニメでは見れなかったもう一つのAqoursの名場面が生まれた。
その後もAqoursクラブというキャストのファンクラブのようなものができて積極的に裏側を見せていたし、ライブBDでもμ’sではなかった舞台裏映像が収録された。
フェス系のライブやテレビ出演も多数こなし、アニメ以外の物語を楽しめる機会が多くなった。
そしてようやく4thライブの話へ。
4thライブはアニメを再現するタイプのライブではなく、初披露曲も少ない。
なので、あまり期待しないでライブに行った人も少なからずいたはずだ。(私はどうなるか予想できなすぎてワクワクしていたが)
しかし今回のライブはバリバリに物語を感じるライブになっていた。
それは、キャラクターとは別の、もう一つのAqoursが積み上げてきた物語の延長線上にあるもののように私は感じた。
君ここから始まり0to1への流れはメルパルクホールでのイベントを彷彿とさせ、目頭が熱くなった。
そして何と言っても想いよひとつになれ、これだ。
1stライブ以降一度も披露されることがなかったこの曲。
アニメとは違うストーリーに分岐し、今回の4thライブでまさかのその続きを見ることができた。
あの時と同じように強張った表情でピアノを弾き始める逢田さん。
さらに途中で手が止まりピアノから離れてしまう。
一瞬血の気が引いたが、なぜかピアノの音は止まらない。
左右にいる伊波さん、斉藤さんと顔を見合わせ、他メンバーと合流していく。
8人で歌っていた想いよひとつになれを、今度は9人で歌い始める。
アニメとは違う、もう一つのAqoursが紡ぎ出した物語だ。
今まで地道に積み上げてきたものの重みがここで響いてきた。
Thank you,FRIENDSでキャストとキャラクターが同じポーズで向かい合わせになっているシーンが今回のライブを象徴しているように思えた。
そうか、きっと最初からこういうことをやりたかったんだと深く納得したのである。
でっかいAqoursシップに乗りながらのミラチケ、WBNWの完全に再現のレベルを超えたパフォーマンスなど、とにかく圧倒された。
Aqoursがやってきたことはきっと間違いではなかったと私は思っている。
オーケストラの演奏という大きなサプライズもあった。
作品世界を表現するステージで、作中に登場しないオーケストラの登場。
作中では千歌のお父さんですら顔を見せることができない世界なのに、加藤達也さんが堂々と登場するという衝撃。
いろんな壁をぶっ壊してしまったような気がした。
これもAqoursだからできたことだろう。
これから先もどんどんリミッターを解除して、すごい景色を見せてくれることを私は望んでいる。
どんなに新しいチャレンジをしても、絶対に芯はブレないという確信があるからだ。
劇場版やアジアツアー、紅白歌合戦、5thライブなどまだまだ勢いがとまらないAqoursだが、ひとまず4thライブお疲れ様でした。
Thank you,FRIENDS!!!!!!!!!!