「置き引き」 | 南米リアルタイム旅行記 Forブログ

「置き引き」

盗まれたのはバスを待っている時だった。
南米で流行りの「首絞め強盗」や「つばかけ強盗」ではなく、地味な「置き引き」だった。
もう、気が付いたら無かった。
今回の旅行では、この時だけずいぶん無防備だったとは思う。
それでも目の前に置いてたし、目を離したのは10秒ちょっと。
次に見た時には、荷物のあった空間にポッカリ空白が出来ていた。

あんなデカイ物をこんな一瞬で!
てのは、きっとやられたら、みんな思うよ。

首都のラパスに比べれば、田舎町ともいえるポトシに来て、僕はすっかり油断していた。
ラパスでは治安の悪さは有名だし、その手の話もよく聞くので、一日に何度も財布やカメラを確認していた。通りでも、よく後ろを振り向いたり、レストランでは壁側で背後に人の居ない席を選ぶという、ゴルゴ13並みの用心深さを発揮して、何事もなく通過した。
(12日間てのは、通過というには長いけど。。。)


そしてポトシ。
鉱山の町で重く、暗く、治安の悪そうなイメージだったが、
実際には人も少なく、のんびりムードの町だった。
まあ、アル中とかはいたけどね。

実は前日にストライキがあり一日足止めをくっていたのだけど、
ストライキ中の町は、店はほとんど閉まっていた。
わずかな露店が出ているくらい。
ただ、時間を持て余した人々がけっこう繰り出していて、歩行者天国状態だった。
散歩や日向ぼっこしている人々を見ながら、僕の気はさらに緩んでいった。
日曜日の午後みたいに。

ただし、僕もただむざむざと置き引きされた訳ではない。
ポトシでの数日、ずっと無防備になっていく自分を自覚していた。
財布やカメラを確認する回数は激減していたし、後ろを確認することもあまり無くなった。
危険のピークを過ぎた直後って、一番危ないんじゃないだろうか。
「家に帰るまでが遠足」という、誰もが知っている格言が1日3回くらい頭に浮かんでいた。

実は次のブログのネタに、気のゆるみを書こうかと思っていたくらいだ。

ここまで分かっているとは僕も流石だ。
伊達に旅行ばかりしていない。
だから、あと一歩だったんですよ、盗難防止まで。
おしい!!
つーか、悔しい。