叔父さんの夢を見た。小学生の頃によく遊んでくれた母の弟だ。野球を教えてくれた。自転車の乗り方も教えてくれた。休みの日には映画にも連れて行ってくれた。優しかった。

 先日、子供の頃、熱が出る前の日の夢の事、話したことがあるのを覚えているかな? 実はその夢を見る原因が叔父さんにあったのかもしれないんだ。

 あの頃、隣に住んでいた叔父さんは仕事を転々として、ほとんど家にいた。まぁだからこそボクとあんだけ遊ぶ時間があったんだけどね.

 ボクにとっては優しく楽しい叔父さんだった。しかしある夜ボクは叔父さんが暴れているのを偶然見てしまった。ボクに気づいた叔父さんはいつもの優しい目で「明日も早いだろ。早く寝なさい」と言った。少しお酒のニオイがした。

 そしてボクが帰ったあと、人を叩くような音と誰かの泣き声みたいな音がした。窓の隙間から中を覗くと叔父さんの鬼のような顔が見えた。見るとその口から吐き出される醜い言葉たちが大きな塊や小さな塊になり飛び出しているような錯覚をおぼえた。そう、あの夢の正体は、初めて見た「人間の裏表」への恐怖そのものだったのかもしれないんだ。熱が出た「はじめての夜」だったから。

 心の中で「みんなそうなんだ」って思った。何故だかわからないけど涙が出て止まらなかった。随分長い間そんな思いを抱いていた。

 朝 目が覚めた時、アルコール臭い叔父さんが隣に寝ているような気がした。アルコール臭いのは多分わたしだろう。

 その後、熱は「リューマチ熱」という病気のせいだと知った。幼い頃にも外人名がついていたとは驚きだ。

 それにしても長い間「熱の出る夢」を見るのを叔父さんのせいにして悪かったと思う。だが「人の表と裏」と「アルコール臭さ」を教えてくれたのは、紛れもなく事実だ。