北海道戦争遺跡 トーチカ探訪30:『エツキサイ2号トーチカ』

 

 

『エツキサイ2号トーチカ』

在所:北海道広尾町小紋別

探訪日:

2019年10月30日

 

『エツキサイ2号トーチカ』

 

 

 

 

トーチカ内部のイメージ(旧日本陸軍)

 

トーチカ内部のイメージ(旧日本海軍陸戦隊)

 

 

 

※トーチカとは…

語源はロシア語。

コンクリート製などで造られた

堅固な小型要塞です。

内部に兵士が隠れて小窓(銃眼)より

機関銃等の火器を用いて敵を狙います。

今回紹介するトーチカは

アジア・太平洋戦争末期

本土決戦用に旧日本軍が構築したものです。

 

 

 

在所:北海道広尾町小紋別

地図上、この辺りです。

 

 

 

 

 

 

滑り落ち進行中の

トーチカ

 

 

 

 

 

想像を超える

重量物が

 

 

 

 

 

滑り落ちで

斜め着底状態。

 

この地、北海道で

数多くのトーチカを見て回りましたが

斜面で滑り落ちて

斜めになっているのは

ここのトーチカだけです。

 

 

 

 

 

驚く事に

この傾斜角度でも

屋根の一部に

当時の砂利土が残っています。

 

 

 

 

 

 

基礎が砂浜に

めり込みつつも…

 

 

 

 

 

よくぞ

無筋の基礎のコンクリが

折れないものだと。

 

 

 

 

 

構造物本体の鋭いエッジ

綺麗な地肌と言い

仕上げの丁寧さが

見て取れます。

とても70数年が経過しているとは

思えません。

 

 

 

 

 

入口には

半分弱の土砂の流入あり。

 

 

 

 

 

上を見上げると

複雑に組まれた木材

 

 

 

 

 

このトーチカ自体が

十分に貴重な存在ですが

 

 

 

 

この木材

 

 

 

 

 

見事に残り

そして、見る事が出来る

 

 

 

何より基礎下に組まれた

この木材こそが

恐ろしいほどに貴重です(主観)

ここ以外で見る事ができません…

 

今回は大失態を…

この材の組み方等を

充分観察する時間を

逃してしまいました。

 

次回、機会があれば

見逃しません。

 

恐らく

この材は松の木(トドマツ)

 

 

 

戦後の70数年間、砂利土の中で

よく耐えたものです。

これほどまでの物を

なんとか保存していただけないでしょうか…

 

 

 

 

 

 

写真の奥に艦橋の様に

見えるのは、いったい…

心配そうに

こちらを見ている…

 

 

 

 

左の土壁形状は

まるで大波のごとく
トーチカに迫っている様な

錯覚に陥ります。

 

そして

次には海中に飲み込まれていく…

それは時間の問題です。

 

 

 

 

 

何気ない

日々の暮らしの中では

存在しない異空間…

 

 

 

 

 

触れると過去の出来事を

語り掛けてくれます…

 

 

 

 

 

このトーチカは

人を殺める施設でありながら

幸いにも、その役割を果たす事なく

終戦を迎えました。

 

今、ここで聞こえるのは

静かな波と風の音のみで

何とも言えない

寂しく悲し気な雰囲気が漂います。

その影響で

複雑な感情が込み上げてきます。

 

 

負の遺跡と言われながらも

今となっては

正しい事も学べるはずの

戦争遺跡トーチカが

海に消えようとしています。

 

 

自然の脅威の中で眠るトーチカ

先々が心配です。

何とかならないものかと…

 

この後も沢山つづきます…

 

 

 

 

 

 

平和…

今の平和に感謝します。