高知県戦争遺跡 

爆破処理などを受けた『損傷トーチカ』 ファイル

 

高知県下には、アジア・太平洋戦争の末期、連合国軍の本土上陸(本土決戦)に備えて、多くの攻撃用施設のトーチカが構築されました。

 

 

これらは、幸いなことに、本土上陸前の終戦により、実戦で使用されることはありませんでした。


南方の島々や沖縄のトーチカと異なり、その意味合いは重みは少し違っていると思われますが、

現在ここ高知にある、戦争の歴史的証拠の貴重な戦争遺跡トーチカ、それらのほとんどが、何ら管理されぬままで、地元の方々の記憶からも薄れつつ、山中で人の目に触れることなく眠っており、風化がすすみ残念でなりません。

 

その、一部は生きた教材として利用されていますが、この戦争遺跡の価値があまり見出されることなく忘れされようとしているのではないでようか…

 

 

今後の活用などを期待して、このトーチカ集を取り上げてみたいと思います。

 

高知にあるトーチカは、大きく分けて、全く損傷のない自然風化のものと、何らかの理由で損傷したものが存在します。

 

 

この度、その戦争遺跡のトーチカ画像をファイルしてみました。

 

そして、そのファイルを、『無損傷トーチカ』と『損傷トーチカ』の2部に分けました。

 

今回は『損傷トーチカ』ファイルをアップします。

これらは、高知県下において、現在(2015年8月)までに発見、確認されたものとなります。

 

 

 

 

今後、新たなトーチカが発見された場合には、その都度更新予定です。


南国市沿岸

No.1

進駐軍により爆破された、半地下式のトーチカ。天井が抜け落ちていますが、外壁はなんとか残っています。

 


 

南国市沿岸

No.2

半地下式トーチカ、地主により最近破壊処分されました。基礎一部と残骸がまとめられています。

 


 

南国市沿岸

No.3

進駐軍に破壊された半地下式トーチカ

 


 

南国市山中

No.4

掩蔽型有蓋砲台に匹敵するほどの規模となります。

 


 

南国市山中

No.5

後方に弾薬地下壕付属
この山には、コンクリート製のトーチカよりも、木材(松)で造られたトーチカが多く存在していたそうで、複雑な塹壕をもつ、その跡地も確認できました。

 


南国市山中

No.6

後方に弾薬地下壕付属
爆破により、柱が折れて屋根も真横に裂けています。

この山では何故jかこのトーチカだけが爆破されています。その他7基全てが無損傷のトーチカです。

 

 

 

 

 



南国市山中

No.7

後方に弾薬地下壕付属
粉砕されていますが、辛うじて基礎が残っています。

 


 

南国市山中

No.8

後方に弾薬地下壕付属

 


 

南国市山中

No.9

後方に弾薬地下壕付属

 



 

南国市山中

No.10

後方に弾薬地下壕付属

 


 

南国市山中

No.11

後方に弾薬地下壕付属

この山にはトーチカが多数存在しますが、その全てが爆破されています。

 



 

南国市山中

No.12

周囲に弾薬地下壕と塹壕付属
激しく粉砕されています。

 


 

南国市山中

No.13

後方に弾薬地下壕付属
天井が抜けていますが、なんとか原型を保っています。

周囲に深い地下壕があります。



南国市山中

No.14

後方に弾薬地下壕付属

めずらしく縦に裂けていますので、内部構造がよくわかります。

本体は、急角度の斜面になんとか留まっていますが、いつ落下してもおかしくありません。残りのパーツは下へ滑落しています。

 

 


南国市山中

No.15

後方に弾薬地下壕付属

トーチカ前面壁1/4と屋根部の全てが吹き飛んでいますが、銃眼が奇跡的に残っています。

 


南国市山中

No.16

周囲に弾薬地下壕および大型地下壕付属
大変貴重な銃眼蓋も残っています。県下で唯一、銃眼蓋が元の位置近くにあるのは、このトーチカだけです。

 

 

 


南国市山中

No.17

後方に弾薬地下壕付属

損傷割れ断面から骨材には鉄筋の代用品で巻かれたワイヤーが使用されていることが確認できました。

 


 

 


南国市山中

No.18

後方に弾薬地下壕付属

割れ断面から骨材には鉄筋の代用品で巻かれたワイヤーが使用されていることが確認できました。

 

 


 

南国市山中

No.19

爆破により、柱が折れて屋根が落ち潰れた格好です。周囲に破片が飛び散ったはずですが、元の位置近くに集められています。

 

現在は段々畑の木枝添え支柱土台として、活用されていました。

県下で確認している損傷トーチカ中で、唯一有効利用されている素晴らしいものとなります。

 

 


香南市山中

No.20

後方に地下壕付属

爆破により、大きく損傷破片は飛び散っています。

コンクリート破損断面からは、しっかりとした鉄筋の確認はできませんでしたが、腰の強い細い針金(約直径3㎜)が、入っていました。

 

 

 

2015.8現在

高知県下において確認されたトーチカ

 

爆破処理などを受けた

損傷トーチカ数=20基

 

目立った損傷のない

無損傷トーチカ数=29基

 

合計=49基となります。

 

 

※No.につきましては、便宜上こちらの管理にて付けているものとなります。

ペタしてね

 

 

 





 

南国市

セメント塊物の放置多数

こちらのものは損傷トーチカではありませんが、周囲にトーチカのある環境にて発見しました。そばには地下壕があり、その条件から、これからトーチカを構築するための資材と推測されるものです。今まで南国市の山中でこれほどの量のセメント袋の放置(セメント袋は紙製で、雨水などがあたる環境であれば湿気にて固まり、外側の紙袋は後に自然に溶けてなくなる)を見たことがありません。普通に考えると、わざわざ固まった大変重たいセメントをここに運ぶはずもなく、必要にて準備をしたものの何等かの事情(終戦など)で工事がストップしこの様な形となったのでしょう。

 

この何気ない放置物にも、歴史を感じます。