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「ユアン! 私たち、両思い!?」


リゼルはユアンに飛びつきました。人形の姿から、元の自分に戻っていたのです。


彼は驚きながらリゼルを受け止め、ヴェリルとマクシミリアンを見ました。


「どういうこと……ですか」


「うん。リゼルさんには伝えたんだけど、君たちに、ちょっとしたおしおきをね」


言いづらそうにするマクシミリアンとは対照的に、ヴェリルは偉そうな態度を見せます。


「このくらいのおしおきですんだことを、幸運に思うんだな!

さあ、これで何もかも元通りだ。リリアナは天界へ、盗まれた一分は消化でき、ユアンも反省した。リゼルは巻きこまれただけだが、結果、ユアンと進展したからよかったんじゃないかな?」


一分間の長い魔法は、リゼルに幸せと後悔を教えてくれたのです。


リリアナがかなえてくれた願いに、二人の魔法使いが力をそえて、リゼルに大切なことを教えてくれたのでした。彼女は、もう安易に誰かを羨んだりすることはしないでしょう。


(魔法使いが好きな私は、魔法を使えないけれど、私なりの幸せを見つけていくわ)


リゼルは少し恥ずかしそうに微笑み、ユアンから離れました。それでも、彼の手の温かさはリゼルの背中に残っています。


「こんにちは~」


ドアが開いて、クチナシの香りとともに、ルチルが入ってきました。


「何か胸騒ぎがして、きてみたんだけど」


リゼルは、ルチルにはどこから話そうかと考えます。話したいことはたくさんあるのです。きっかけをくれたのは、ルチルなのだから。


「ルチルさん、ありがとう」


「え? 何? 何か大変だった?」


「色々あったんだけど、一段落したところなの」


ルチルは目をくりくりと動かして、うなずきながらにっこりと笑いました。それからユアンに軽く会釈をして、次にヴェリルを見ました。


リゼルはそういえば……と、ぼんやりと思いました。この間、ユアンには会ったけれど、この姿のヴェリルははじめて見るんじゃ──。