リリアナを見ていたユアンは、目を見開いて、次に驚いたように口を開けました。
「リリアナ……、いや……リゼル……?」
(そうよ! 気づいてくれたのね!)
心が通じました。二人は、お互いの心で会話ができるようになっていました。
「リゼル、どうして? どうして、こんな──!」
(リリアナに願いをかなえてもらったの。これからは、私がずっとそばにいるわ)
「リリアナがこんなことを? まさか!」
(リリアナを非難しないで。彼女には何も言っていない。ただ、願いをかなえてくれるって言われたの。私の願いを、ただ、かなえてくれただけなのよ)
「こんなことが君の願いなのか?」
(そうよ。私の願いは、ずっとユアンのそばにいること)
ユアンはうつむいて、肩を震わせました。泣いているのか、怒っているのか、リゼルにはわかりません。
──ユアン。ユアン。笑顔を見せて。
彼は顔を上げると、不思議な表情を見せました。泣いているような、怒っているような、諦めているような、何かを決意しているかのような。
「この魔法は僕には解けない。でも、必ずどうにかする。僕が必ず、君をもとに戻してみせる」
(私はこのままでいいのよ。だって、幸せなんだから。ユアンが笑ってくれたら、もっと幸せ)
──本当に? 後悔はしていない? するはずないわ。でも──。