明け方に、目が覚めました。
起きるにはまだ早い気がしましたが、完全に目覚めてしまいました。

誰かに呼ばれた気がする……

窓の外を見ると、ユーリックが立っていました。

『出てこられる?』

テレパシーのようなもので、聞かれました。

「今すぐ?」

洗顔……髪……着替え……

焦ると、笑われたような声で言われました。

『なるべく早く来て』

わかったわ!

私は急いで支度をして、外に出ました。



うちの庭の、様子が変わっていました。
レンガのアーチの向こうに、廃墟が見えます。

「え? どこなの?」
「綺麗な場所だから、アンリエットに見せたくて」

ユーリックは、どこか遠いところにいるようです。そこの空間を、ここと繋げてくれたとのこと。

辺りは一面ピンク色です。
大きな木には満開の花。地面にもたくさんの花。そして、空の色も、少しくすんだピンク色。何もかもが、ピンクなのでした。

「綺麗ね」
「今のこの時間だけなんだ」

明け方の魔法ですね。
こんなステキな景色を見せてくれて、とても嬉しかったです。