魔法の「鍵」で、知らない場所へ行ってみました。
曇り空のせいか、外灯のせいか、ぼんやりとした景色は、とても幻想的です。

どこかのお店に入ってみたい。
でも、知らない世界の知らない場所は、一人では心細いです……。
今日はエグランティアもいないし……。

「アンリエット」

名前を呼ばれて振り返ると、ユーリックがいました。

「え? どうしてここに?」
「アルヴィスが、連れて来てくれたんだ。彼はすぐに行ってしまったけど」

私が迷子にならないように、ユーリックを連れて来てくれたのね。

「どこかでお茶したいと思って」
「じゃあ、少し歩いてみようか」

私たちは幻想的な黄昏を、楽しむことにしました。