「ユアンは無意識に魔法を使っていた。毎日二秒、昼と夜とで一秒ずつ、時間を盗んでいたんだ。君がガルデニアに行ってから、何日たった? 毎日盗んでいた時間は、一分くらいにはなっただろうね」


厳しいヴェリルの声に、ユアンは目を丸くして叫びました。


「時間を盗んでいた? 僕が!?」


「リリアナを救うために時間をどうしようとしていたのかは、私にはわからない。でも、君は、してはいけないことをしようとした。いや、すでにしている。リリアナを人形にしたのは、君だね。ユアン」


ユアンは何かを言おうとして、そのまま口を閉じました。それは肯定の意味だということです。


「正しく言えば、リリアナの魂を人形に封じこめたということだが」


リゼルはヴェリルの服の袖をつかみ、自分が知っていることを伝えました。


「リリアナがそうしたかったの。ユアンのそばにいたかったから」


ヴェリルは、ユアンとリリアナの魔法の先生です。二人は魔法の才能があったので、もっとも偉大な魔法使いヴェリルに、魔法を教えてもらっていたのでした。


リリアナはユアンと一緒に、魔法を勉強できることが嬉しかった。小さいときから、ユアンのことが大好きだったからです。


ユアンもリリアナのことが好きでした。お互いに同じ気持ちでいたのに、それを伝えられなかったのは、ユアンのお兄さんがリリアナのことを好きだったからでした。

ユアンはお兄さんに幸せになってもらいたくて、リリアナには何も言えなかったのです。


(何これ。どうしてこんなことがわかるの? 私、今度はユアンとシンクロしてるの?)