「君は彼女と似ていると思うよ」


いきなりヴェリルが現れました。夢で見たときと同じ、大人の姿です。


「君が彼女を羨ましいと思うように、彼女も君を羨んでいる」


「どうして?」


「彼女はもう人ではないから。彼のそばにいられないから」


(だから! ユアンが私と結婚すれば、二人はいつまでも一緒にいられるんじゃない!)


「……んー……? ……それは……なんだか、いやだわ」


「ははっ。君って面白いね」


ヴェリルはおかしそうに笑いました。


「ちょっと、そんなに笑わなくたって……」


人数分のお茶の用意をして、ユアンが店内に入ってきました。

彼はヴェリルを見て、一瞬かたまり、トレーをそっと空いているスペースへ置きました。そして数秒後に、ゆっくりと顔を上げました。


「……先生……?」


「やあ、ユアン。久しぶりだね」


──えっ? どういうこと? ユアンとヴェリルは知り合いだったの?

先生って? なんの?

大人の二人は歳が近いように見えるけれど。

ヴェリルって、ガルデニアの精霊じゃなかったの?

ユアンは人間だって──


リゼルはわけがわからずに、ただ二人を交互に見ています。


「ユアン、思い出してくれたようだね」


「夢で……あなたに会いました」


「では、出向いたかいがあったというものだ。リリアナのことは、思い出した?」


ユアンは「リリアナ……」とつぶやき、リゼルの隣にきました。リリアナの前に。


「……リリアナ……? どうして、こんな……。僕が……!?」


ヴェリルの体から、冷気が立ちのぼりました。そして、彼は声を荒げて言いました。


「ユアン、思い出しなさい! 自分の犯した罪を!」


罪とは? ユアンが何をしたのでしょうか?


マクシミリアンとリビアンが、驚いてやってきました。

みなは雑貨店から、どこか知らないところへと飛ばされたのでした。