「リゼルは、いつも気づいてるの?」
「ううん。今ので二度目。前は、確か、三時前だったはず」
「時間は同じじゃないのか。まあ、同じだったら、ほかにも気づく人がいるだろうしね」
リゼルは急に怖くなり、きょろきょろとまわりを見渡しました。
「だ、誰が……。超能力者? 魔法使い?」
「魔法使いって……。謎の一秒に気づいた俺たちだって、普通とは違うと思うけど」
リビアンは顎でまわりの人を示しました。みんなは特に気にしていないようです。
「あなたはルチルさんの息子だし。やっぱりスピリチュアルの力があるんでしょ?」
「そんなもんないよ。まあ、ちょっと霊感は強いかな。見えないはずのものが見えたりするときは、ある」
「やめてー!」
怖くて叫ぶと、リビアンはくすっと笑い、歩き出しました。
「雑貨店へ行くんだろ? 俺も買い物があるんだ」
「ま、待って!」
リゼルは慌てて彼を追いかけます。
(もう! こんなときにかぎってヴェリルもいないんだから!)
リビアンは、ヴェリルのことは知っているのでしょうか?
「ねえ? ヴェリルって……わかる?」
「うっすらと水色の毛並みをした猫? 何度か、公園で見かけたことはあるよ。あの猫……猫っぽくないよな」
やっぱり、彼は不思議な力がありそうです。