「今はしょうがないわよ。あと五年……六年後は、リゼルは十八でしょ。ユアンは三十くらい? うん、いいと思うわよ」


「ほんと? 問題は、それまでユアンが待っていてくれるかってことよね」


「そこはまあ、彼は大人だからねえ。なんとも言えないわねえ」


「そんな~!」


「リゼルも同世代の男の子とつきあったら? たとえば……、ほら、あの男の子なんかどうかしら?」


ルチルは、こちらに向かって歩いてくる男の子を指さしました。

中学生くらいの男の子は少しムッとした表情で、まっすぐに二人のほうを目指してきます。


「ちょ、ちょっとルチルさん、指さしちゃ──」


素朴な感じの男の子は、服装は地味ですが、なかなかの整った顔立ちをしていました。


「お母さん! 俺の噂話するの、やめてくれる?」


「何も話してないわよ~。偶然じゃない」


(え? お母さん?)


リゼルは二人を見比べました。