まわりが真っ暗になり、マクシミリアンもユアンも消えました。
「君にはまだ、加減が難しい」
水の中から引っ張り上げられるような感覚に、はっとしました。目の前に、リゼルより少し年下かというくらいの男の子が立っています。
「魅力的なのはわかるけどね。帰ってこられなくなるよ」
男の子は、うっすらと水色の髪をしています。人懐こそうな笑顔を浮かべているけれど、金色に輝く目は、本当には笑っていないように見えました。
(誰なの……?)
「僕の名前なら、君はもう知っているよ。会うのも、これが二度目だ。ほら、思い出して。中央公園で、会っただろ?」
目がいいのね、と笑っていたルチル。その隣にいた、綺麗な毛並みの猫。中央公園でのことを思い出すと、リゼルは自分の姿に戻りました。
「ヴェリル……?」
小さく呼んでみると、「よくできました」と言い、男の子の姿をしたヴェリルは、今度は本当の笑顔を見せました。
「また今度ね」
彼は手を振ると、その姿を消しました。
☆☆☆
目覚めると、リゼルはとても疲れていると感じました。夢のせいでしょうか。
(……夢……だったの……?)
あの男の子は、あのときの男の子かしら?
砂粒のようなローズクォーツを「預かっていて」と言った男の子。
(でもあの人は、私よりも大人だった)
「あのローズクォーツって、どうしたんだっけ……?」