私はルベリウス様に名前を呼ばれたことに、びっくりしました。


『何をそんなに驚いている。私は君が小さなころから、ずっとそばにいるのに』


確かに、いつもその存在は感じていました。姿を見せてくれるようになったのは、少し前のことだけれど、私はいつも、この方に見守られていたのです。


『ユーリック、アンリエットなら、君を助けてくれるだろう。なんでも話してみるといい』


突然言われたことに、さらに驚きます。いきなり現れた彼の、何を助けろと!?


「ええと……、ユーリック? あなたはどこから来たのですか? 何か困っているのですか?」


ユーリックは伏し目がちに、静かに語り始めました。


「僕は、遠い星から来ました。この星を救うため、魔法使いになれる素質のある子どもを探しています。そして、立派な魔法使いに導くのが、僕の役割なんです。

僕の星は、この星と同じ位置の、別次元にあります。この星が滅べば、影響を受けます。だから、この星を救うことには意味があるんです」


この星を救うって……何か危険が迫っているの!?


「今、特に重大な危機はありません。けれど、危険が迫ってからでは遅い。いつでも対処できるように、早めの準備が必要なんです」


なるほど。


「それで、私は何をお手伝いすればいいのかしら。魔法使い候補の子どもを、探してほしいとか?」


ユーリックは目元を緩めて、ふんわりと笑いました。


「もし、素質のありそうな子がいたら、教えてください。頑張って何かをする必要はありません。君は、ただこのことを知っていてくれればそれでいい」


『理解してくれる存在は、それだけで心強いものだ』


ルベリウス様は私たちに頷くと、静かに温室を出て行きました。


「アンリエット、この間買った花のリースは、お気に召してくれましたか?」

「はい。部屋に飾ってあります」

「良かった。あの花には、微かな魔法がかかっています。君を守ってくれる」


あのリースは、ユーリックの上司が、魔法を込めて作ったものだということです。


「『このリースを選んでくれた人とは、通じ合えるでしょう』と言われました。選んでくれたのは君だ。ありがとう」


エグランティアが言っていた、新たな出会いとは、このことだったのです。